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『酸素療法による治療は安全か?』

 

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症者に対する標準治療として、酸素投与と呼吸器の使用があります。

私も臨床医になってICU(集中治療室)などを経験し、何の疑問もなく、酸素飽和度(指先につけて測定)が低いと、酸素を投与したり、低換気の場合には呼吸器を使用したりするのが当然だと思っていました。

しかし・・・・・

リアルサイエンスを学んだ後では、これはとんでもない治療をしていたことが判明したのです。

今回は、酸素療法に関して基礎医学でお伝えしている内容をお話しします。

実際に酸素療法というのは、以前から疑問視されています。

元々、私たちの細胞が低酸素になるとストレス反応が起き、セロトニン、エストロゲン、一酸化窒素などのストレス物質が大量に産生されて病態を悪化させます。

だからと言って、外部より酸素を投与するのは如何でしょうか?

特に純酸素を高い濃度で投与すると、皆さんの細胞を栄養する血管が縮こまってしまいます。

これによって、皆さんの細胞はむしろ血液が流れなくなり、低酸素になるのです(Critical Care volume 15, Article number: 305 (2011))。

さらに酸素濃度が高いと、体内で産生した二酸化炭素の酸素を赤血球から遊離する働き(ボーア効果という)が阻害されます。

このことで、赤血球は酸素をより抱えたままになり、私たちの細胞に酸素を受け渡すことができなくなるのです。

そうすると、細胞内が低酸素になり、糖のエネルギー代謝がストップし、炎症性物質、ストレス物質やストレスホルモンのストームが起こります。

未熟児に酸素投与したときに併発する未熟児網膜症(失明に及ぶ)がその典型例です。

呼吸障害の人を対象としたランダム化二重盲検試験において、鼻から酸素を投与した場合と空気を吸わせた場合では、効果はほとんど変わらないという結果も出ています(Lancet 2010, 376: 784-793. 10.1016/S0140-6736(10)61115-4)。

長期の経過観察では、酸素投与群の方が結果は悪く出るでしょう。

この様に酸素療法というのは、過剰な活性酸素発生による組織障害の弊害だけでなく、私たちの細胞を逆に低酸素にしてしまう“パラドックス”を引き起こすのです。

現代人はすでに鉄、プーファ過剰があるため、過剰な酸素投与は命取りになります😊。

 

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