糖のエネルギー代謝を高めるには、ハチミツ、ショ糖、フルーツは必須の糖質です。
オレンジやマンゴージュースなどのフレッシュジュースも良質の糖質源です。
さて、フレッシュジュースは目の前で果物を絞ってすぐに飲むために、大量生産には向きません。
そこで考え出されたのが、濃縮還元という加工。
果物ジュースをフィルターにかけて完全に固体成分を除去。
その後、液体のみになった果物ジュースの水分を完全に飛ばしてペレットあるいはペースト状にしたものを冷凍保存します。この水分を飛ばす時に、加熱殺菌を同時に行います。
そして、このペースト状で冷凍している固体を輸出先で、水を加えて出来上がり。
日本で加えている水はもちろん塩素たっぷりですから、水を単純に加えただけでは、オレンジジュースの風味が損なわれています。
この様に濃縮還元ジュース(from-concentrate juice)では、風味や糖質(その他の多数の栄養素も)が失われていることが多く、人工甘味料やコーンシロップなどを足して調整しています。
さて、この様な濃縮還元ジュースは、フレッシュジュースと同じように糖のエネルギー代謝(=甲状腺機能)を高めるのでしょうか?
オレンジの濃縮還元ジュースの健康効果を調べた興味深い実験があります(Niger Med J. 2014 May;55(3):230-4)。
オレンジの濃縮還元ジュースを与えられたラットでは、著明に甲状腺機能が低下しました。
実験では、ヒト(70kg)に換算して1日105g程度の量で、28日間投与しています。
私は毎日フレッシュジュースだけでも300~500gは摂取しているので、この実験でのラットへの投与量はかなり少ないです。
ちなみ、この実験で使用した濃縮還元ジュースには、人工香料や追加の糖質はありません。
この実験の研究者は、甲状腺機能低下の原因として、オレンジジュースに含まれるプラボノイド(抗酸化物質)が甲状腺ホルモン合成をブロックしたと推測しています。
フレッシュジュースの糖のエネルギー代謝増進は、「グルコース+フルクトース」の作用によるものです。
確かに、この推測のように、このフレッシュジュースの「グルコース+フルクトース」が加熱減菌処理などで失われて、フラボノイドの抽出液の様になっている可能性があります。
私はそれ以上に、加熱減菌処理によって、ペースト内に発生するAGEs(終末糖化産物)やそれと結合した変性タンパク、脂質が甲状腺にダメージを与えている可能性を危惧します。
このように、濃縮還元ジュースというものは、フレッシュジュイーストは似ても似つかないだけでなく、逆の効果を持つことを知っておきましょう(^_−)−☆。
これもフレッシュジュースを飲んでいれば、すぐにその味の不自然さに気づきます。
地産地消でない、大量生産と大量輸送という近現代の食の仕組み(食材の著しい劣化、健康被害、貿易摩擦、農家・酪農家の貧困化など)そのものを見直す必要があります。
100%果汁という表示を見たら、濃縮還元かどうかを確認しましょう(^_−)−☆。