皆さんの周りには、逆境にめっぽう強い人がいないでしょうか?
しかし、現代人の大半は、逆境に耐えられないことを本能的に知っていて、それを事前に避ける(逃げる)傾向が強いと思います。
私は、これはこれで正解だと思います。
環境の変化に対応する糖のエネルギー代謝自体が低いのですから、生命を守る防御反応としては自然です。
逆に本能に逆らって、無理をすると必ず倒れます(collapse)。
このように、逆境でも生き延びられる人とそうでない人の違いは、糖のエネルギー代謝の違いによります。
慢性的なストレスや逆境によって、うつ病や統合失調症が引き起こされることをお伝えしてきました。
しかし、以前もお伝えしたように同じストレスがかかっても、うつ病や統合失調症にはならない人もいます。
この違いは一体何なのか?
その違いの一つが、先祖からの環境汚染の影響(環境遺伝)の差でした(^_−)−☆。
私たちの先祖がたくさんのストレスを受けているほど、子孫である私たちにも悪影響(ストレス耐性が低い)が出ます。
さらに最新の研究で、ストレスに対するドーパミンの産生の違いが精神に影響することが報告されました(Elife. 2019 Nov 12;8)。
生涯にわたって、高いストレスや逆境にあった人と比較的ストレスが低い人のグループに分けた臨床実験です。
この2つのグループに同じ急性ストレスを与えました。
その結果は・・・・・・
高いストレスにさらされていたグループでは、急性ストレスに対してドーパミンの産生が低下しました。
一方、比較的ストレスが低い環境にあった人では、ストレスに応じてドーパミンの産生が高まったのです。
このように、同じストレスでもそれに対応する能力があるかないかは、体内の糖のエネルギー代謝(ドーパミンの産生)によるということです(^_−)−☆。
これと同じく、慢性ストレスにある人は、急性ストレスがかかった時に、それに応じてコルチゾールの産生を高めることができません(Front Endocrinol (Lausanne). 2019; 10: 54)。
現代人のように慢性ストレス状態にあると、急性のストレスに対して対応することができないのです。
逆境に対するサバイバル、つまりストレス耐性の違いは、“いかに急性ストレスに対応できるか”ということです。
現代人は、絶え間ない逆境に置かれているために、慢性ストレス状態にあります。
現代人がなぜストレス耐性が低いかというと、常時コルチゾールが高いにも関わらず、必要な時にコルチゾールを分泌する(急性ストレス対応)ことができないからです。
環境に応じて生命体が適応できない状態。
これが“現代病”と呼ばれているものなのです。