もう肉を生産するのに、家畜や畜産場は必要ない!
といったら驚かれるでしょうか?
肉を生産するには、実験室があれば良い・・・・・・・・・・・
こんな研究が報告されました(npj Science of Food volume 3, Article number: 20 (2019))。
実験は、ウサギと牛の筋肉細胞の培養。
ゼラチンを足場にして、筋肉細胞を培養して増殖させたようです(これは特に新しい技術ではありません。)。
その結果、テクスチャーはビーフテンダーロインと変わらないものができたようです。
ただし、実際のテンダーロインよりも筋繊維が少ないのが問題点だったと言います。
今回の培養細胞では、まだ十分に筋肉が発達していないということと解釈しています。
このバイオエンジニエアイング・ミート。
これが次世代の持続可能の食料供給だ!と息巻いています(ただし、コストが高くなるとも言っています。庶民には手が出ないでしょう)。
果たしてそうなのでしょうか?
細胞の培養には、発達段階に応じて栄養・温度・湿度など様々な環境因子が複雑に相互作用しています。
これを人間の脳みそ(もちろんコンピュータでも😋)で制御することは不可能です。
このバイオミートを売り出したい多国籍企業は、大量生産を視野に入れているでしょう(様々な理由で(^ ^))。
しかし、いつも条件で培養したはずの筋肉細胞が気付けば、がん細胞に変化している・・・・・・
ということは起こり得ることなのです。
いつもの条件といっても人間がコントロールできる環境因子は、たかが知れています。
実際の細胞や生命体に及ぼす環境因子は、私たち人間が予知あるいはコントロールできないものが無数にあるのです。
実験室で簡単に生命体を作れると“思考”するのは、甘いだけでなく、危険ですらあるのです。
さらにバイオミートも安全性の問題があります。私たちの体がそれを異物としてみなす可能性もあるため、実用化に向けては十分な毒性試験や臨床試験が必要となります。
まあ、現在の調子では、バイオミートが実現したとしても、遺伝子編集(GE)と同じように、安全性の審査を行う意思はさらさらないでしょう。
近代・現代社会の「今だけ」良ければ良いというのではダメです。全ては長期的な安全性を確認しないと、「いや、あれは間違っていました・・・・・ヘラヘラ」(近代・現代社会の産物のほとんど)では取り返しがつかないのです。