イースト菌(カビ)は、糖をエネルギーの原料としています。
ビール酵母などのイーストは、糖を原料としてアルコール(エタノール)を産生します。
これを発酵と呼んで、糖のエネルギー代謝とは区別しています。
このイーストが産生するアルコールは老廃物と考えらえていて、なぜ糖をもっと有効利用せずに老廃物として垂れ流してしまうのかがサイエンスの世界でも分からないままでした。
今回、この疑問に答えるべく興味深い論文が発表されています( Nature Metabolism, 2019; 1 (1): 125 )。
イーストも当初は糖をエネルギーとしてフル活用しています。
糖のフル活用とは、糖のエネルギー代謝と私がお伝えしているものです。
糖をフル活用(完全燃焼)するとエタノールではなく、二酸化炭素ができます。
それではなぜイーストが発酵によってエタノールを産生するようになるのか?
それは簡単にいうと、エネルギーが十分足りるようになると、それ以上のエネルギー代謝によって消費される酵素などのロスや激しい動きによって、むしろ形態形成維持(『新・免疫革命』参照)が損なわれていきます。
論文では、これをエントロピーという言葉で解説していました。
形態形成維持が損なわれることを「エントロピーが増大する」という言い方をします。
少し難しいですね。。。。
エネルギーが充満すると、それ以上のエネルギー産生にかかるコストよりも、燃料を捨てる方が得というと分かりやすいでしょうか。
エネルギーが足りると、燃料となる糖を捨てる(変換する)のですが、その一つの方法が発酵になります。
そして糖がエタノールという廃棄物として変換・放出されるということです。
興味深いことに、糖の細胞内への取り込みが遅いイーストでは、発酵が起こりません。
これは十分なエネルギー量に達するのが非常に遅いからです。
私たちも実は細胞レベルで発酵を行うことがあります。
私たちが糖を発酵させることで産生させる廃棄物が「乳酸」です。
エタノールも乳酸も廃棄物なのですが、それ自体が生命体に甚大な悪影響をもたらします。
さて、ここからがこの研究論文と私との大きな見解の違いになります。
研究者はイーストと私たちの細胞が同じメカニズムで発酵を行うと指摘しています(形態形成維持のため=エントロピーを抑えるため)。
さて、私たちの場合に糖が十分あって、エネルギーが満ち足りると、発酵を行うわけではありません。
ここが重要なポイントなのです。
私たちが発酵を行うのは、あくまで「病気の場」(糖質制限やプーファの摂取など)にいるときです。
通常、私たちの細胞は、エネルギーが満ち足りると、糖を二酸化炭素に変換せずに、「熱」として放出するのです。
イーストはエタノールとしてしか糖を変換できませんが、私たちの細胞は熱として放出することができるのです。
私たちの熱産生は形態形成維持の一つの手段だったのです。
ただし、熱として放出するためには、第5チャクラにある甲状腺が機能していないといけません(#^.^#)。
健康でエネルギッシュな人は、体温が高いということですね(^_-)-☆。