来週の初のワクチン講義でお伝えするワクチンの中で第一世代といわれる最初に人体に用いられたものは、天然痘、狂犬病などの撲滅に寄与しました。
そのワクチンとは「生ワクチン」。
生ワクチンは微生物をそのまま人体に注入するものです。
実際には、生ワクチンによって感染症を引き起こして死亡したり、重篤な副作用をもたらしたりしたことが重なりました。
そのため生ワクチンといえども少し微生物を弱毒化させたものを使用しています。
ここ数十年で免疫学の分野もかなり新しい知見が積み重なって変化してきています。
しかし、まだ生ワクチンが私たちにどうやって免疫をつけるのか(場合によっては終生免疫も作れるといいます)、つまりその微生物が入ってきたときに速やかに処理できるのかという詳しい仕組みはまだ明らかになっていませんでした。
ちょっとびっくりですね。
仕組みは分からないがとにかく生ワクチンは経験上、免疫を作ってくれるということだけで使用されていたのです。。。。。
医学はまだまだサイエンスとは程遠い分野であるという私の主張はここでも証明されています。
さて、その生ワクチンの作用する仕組みを明らかにしたという最新の研究がありましたのでご紹介いたします(Nat Immunol. 2018 Apr;19(4):386-396)。
死滅させた微生物を用いたワクチン(現在のほとんどのワクチン)と比較して、生ワクチンが免疫を作っている原因は、微生物のRNA(遺伝情報)そのものであったといいます。
生きている微生物のRNAが食細胞のアンテナ(TLR8)に察知されて、活性化します。
その食細胞の信号がリンパ球(ヘルパーT細胞<TFH>およびB細胞)に伝わり、抗体が作られます。
このときに過剰にリンパ球が活性化すると生ワクチンそのものによる感染症を引き起こしたり、自己免疫疾患を引き起こしたりします。
人体に悪影響を引き起こさずに、望む結果(終生免疫を作る)だけを得られるようにワクチンが設計されているのではなく、ワクチンに対する私側の体の反応にすべてはかかっているのですね。
この視点が最も大切ですので、ワクチンの講座の前にお伝えいたしました。