この時期の外来は毎年多忙です。
風邪の診療というようよりは、インフルエンザワクチン希望の方の接種に追われるからです。
「打たなくてもいいのに・・・」とつい本音を漏らすとみなさん「?」という顔をされています。。。。
さて、インフルエンザウイルス感染の免疫について最新の研究結果が報告されました(Cell Reports, December 2015 DOI:10.1016/j.celrep.2015.11.063)・
インフルエンザウイルスがヒトの細胞に感染(接着)するときに必要な「ヒモアグルチニン」という物質があります。
インフルエンザウイルスに限らず、ウイルスは一般に変異(遺伝子)が激しいです。
そのため毎年、前年に流行するインフルエンザウイルスのタイプを予想してワクチンを作るのですよね。
ところが。。。。
このインフルエンザウイルス接着物質である「ヒモアグルチニン」。
この構造にはほとんど変異(マイナーな変異のみ)が起きないことが分かっています。
さて、ヒトはインフルエンザウイルスの初回感染時(幼少時)に、この「ヒモアグルチニン」という物質に対して「抗体」というミサイルを作ります。
「ヒモアグルチニン」の構造はほとんど変化ないために、いくら毎年ウイルス変異があってもこの抗体だけは万能に働けるのです。
この研究では、この抗体が初回感染からずっと成人してからのインフルエンザウイルス感染にも有効であると結論づけています。
だから、早いうちに「インフルエンザワクチン接種を」というキャンペーンに持っていきたいようですが・・・・
そもそも初回感染で抗体がある程度効果あるのであれば、毎年インフルエンザワクチンをわざわざ接種する必要はないはずですよね。
免疫を毎年活性化させるなどいろいろ言い訳をしますが、そもそもインフルエンザウイルスに感染したから発症するわけでもありません。
むしろインフルエンザウイルスに感染しても発症しないひとの方が多いといわれています。
これはエイズの原因とされるエイズウイルス(HIV)の感染についても同じことがいえます。
エイズウイルスに感染しているひとが多いですが、発症するのはごく一部の人です。
それではなぜ一部のひとが発症するのでしょうか?
原因と結果が1:1関係と数式のように考える医学のドグマの欠点が毎年のインフルエンザワクチン接種という愚行に顕著に表れていると思います(*^。^*)。