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『温熱療法はどこに効いているのか?』

整骨院や整形外科に行くと、電気治療なるものがあります。

この電気治療で肩こりや筋肉痛がほぐれるという触れ込みですね。

この電気治療は、高周波(超短波)の電気を人体に流しています。

高周波とくに超短波といわれるパルスでは、深部体温が高くなることで

温熱効果をもたらすとされています。

医療分野でもジアテルミー(diathermy)という名称で治療に使用されています。

さて、今回、この高周波療法の人体実験の結果が報告されました(J Appl Physiol (1985). 2018 Jul 19)。

男性20人と女性10人の大腿の筋肉に、高周波1日2時間を6日連続であてています。

高周波治療によって、30分後には大腿の筋肉の深部温度が3.9℃も上昇したようです。

この筋肉内の深部温度上昇は、筋トレでも同程度の効果があります(^_-)-☆。

さて、この高周波の深部温度を高める効果のベネフィットは何なのでしょうか?

この研究では筋肉のミトコンドリアを詳細に調べています。

ミトコンドリアの電子をリレーさせる電子伝達系というシステムがあります。

このシステムを構成するタンパク質(複合体I,V)やミトコンドリアを新生するタンパク質(PGC-1α)を増加させることが明らかになりました。

これは、深部体温を高めるとミトコンドリアの機能がアップするということを示しています。

高周波治療はミトコンドリア(今回は筋肉組織)の機能を高める作用があるのですね。

ちなみに、ミトコンドリアのシステムを構成するタンパク質(複合体I,V)にダメージが及ぶのは、プーファをエネルギー源として使用した場合(=糖のエネルギー代謝がブロックされた場合)に起こります。

そして、この高周波のミトコンドリアの機能を高める効果は、レッドライト(赤色のランプ)とまったく同じです。

筋トレ、レッドライト、高周波は同じ作用をもっているというのは興味深いですね(^_-)-☆。

これはすべて生体内電気と関係しています。

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