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『日本が巻き込まれる台湾有事は遠ざかった』

 

『日本が巻き込まれる台湾有事は遠ざかった』

〜中国軍部で何が起きているのか?張又侠失脚が示す新たな世界秩序〜

 

 

日本は相変わらず総選挙だのといってお花畑状態です(選挙しても何も体制が変わらない仕組みになっています)が、世界は激変が加速しています。

 

 

 

2026年1月24日、中国国防部は突如として衝撃的な発表を行いました。中央軍事委員会副主席の張又侠(ちょう・ゆうきょう、Zhang Youxia、75歳)と、連合参謀部参謀長の劉振立(りゅう・しんりつ、Liu Zhenli、61歳)という軍部の最高幹部2名が、「重大な規律違反および法律違反」の疑いで調査を受けていると明らかにしたのです(1)(2)。

 

 

 

この発表は、通常は情報統制が厳しい北京にしては驚くほど迅速に、公式に世界へと伝えられました。私はこの発表を聞いて、「天は日本に味方した」と少し安堵しました。その理由を述べていきます。

 

 

 

張又侠氏は、中国共産党序列23位以内に位置する中央政治局員も兼務しており、軍部における「制服組」のトップという極めて重要なポストにありました。一方の劉振立氏は、軍の作戦を統括する参謀長として、実質的な軍事指揮の中枢を担っていた人物です。この2人が同時に調査対象となったことは、中国軍部における前例のない異常事態と言えます(3)。

 

 

特筆すべきは、張又侠氏が中央軍事委員会副主席として、台湾周辺で実施されてきた一連の軍事演習における作戦指揮の責任者であったという事実です。中央軍事委員会の第一副主席として、張氏は15の部門と委員会を監督し、軍の作戦準備態勢と軍事近代化計画の実行に直接的な責任を負っていました(4)(5)。

 

 

2025年12月末には、中国軍の東部戦区が「正義使命2025」と称する大規模な軍事演習を台湾周辺で実施しました。この演習は台湾を包囲する形で行われ、陸軍、海軍、空軍、ロケット軍などの複合部隊が参加しました(6)(7)。このような台湾周辺での軍事活動は、中央軍事委員会副主席である張又侠氏の監督下で実施されていたのです。まるでオーケストラの指揮者が複数の楽団を統率するように、張氏は中国軍の各軍種を統合的に指揮する立場にありました。

 

 

 

つまり、台湾有事を中国側から煽っていた人物がパージされたということです(日本側でも台湾有事を煽る人間をパージしなければなりません)。

 

 

 

⭐️「国家安全保障上の重大な懸念」

今回の失脚について、より深刻な疑惑が浮上しています。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは25日、張又侠氏が中国の核兵器計画に関する機密情報を米国に漏洩した疑いで告発されていると報じました(8)(9)(10)。報道によれば、張氏は核兵器の中核技術データを米国側に提供していたとされ、これは単なる汚職を超えた国家安全保障上の重大な背信行為と見なされています。

 

 

 

 

さらに注目すべきは、張又侠氏が2024年8月29日に北京で米国のジェイク・サリバン(Jake Sullivan)国家安全保障担当大統領補佐官と会談していた事実です(11)。この会談では表向きには台湾問題などが協議されましたが、その背後で何が話し合われていたのか、新たな疑問が浮上しています。張又侠氏は、過去記事でもお伝えした中国国内の第五列(カバールの命令に従って国内を不安定化させる)の人物だったのです(残念ながら日本の官僚・政治家や高市氏のバックの宗教団体は全体が第五列です)。

 

 

 

中国共産党では、「紀律違反」という言葉は、実質的には汚職や腐敗を意味する隠語として使われることが一般的です。しかし、今回の発表が異例なのは、その公表の速さと、核機密漏洩という極めて深刻な容疑が浮上している点にあります。通常、こうした政治的に敏感な情報は、水面下で処理されることが多いのですが、今回は驚くべきスピードで世界に公表されました。

 

 

 

⭐️クーデターの真相と権力闘争の構図

この一連の出来事をどう理解すべきでしょうか。結論から先に述べるならば、これは「急転直下のクーデター」が発生し、習近平(しゅう・きんぺい、Xi Jinping)主席が反習近平派の軍事的トップを捕らえることで、事実上の権力を取り戻したと考えられます。まるで将棋の盤面がひっくり返ったように、権力構造が一変したのです。

 

 

今回のクーデターにおいて重要な役割を果たしたとされるのが、何衛東(か・えいとう、He Weidong)氏の後任として中央軍事委員会副主席に昇格した張昇民(ちょう・しょうみん、Zhang Shengmin、66歳)氏です。クーデターに成功した習近平主席は、張又侠と劉振立という2人の軍部幹部の逮捕を積極的に内外に公表しました(12)。

 

 

ここで時計の針を少し戻してみましょう。2024年7月の第20期中央委員会第3回全体会議、いわゆる「三中全会」の際、習近平主席が会議中に倒れたという情報が流れました。脳卒中であったとの見方が有力です(13)(14)。この健康問題以降、張又侠氏が実質的な軍権を握り、習近平主席に代わって軍部の実権を掌握していたと考えられます。

 

 

 

しかし、張又侠氏は習近平主席を完全に排除する機会があったにもかかわらず、それを実行しませんでした。2025年10月の第20期中央委員会第4回全体会議、「四中全会」では、習近平主席が総書記職を退任するのではないかという憶測が流れましたが、結局彼は続投することになりました。

 

 

 

中国軍の機関紙「解放軍報」は25日の社説で、張又侠氏と劉振立氏が「中央軍事委員会の主席責任制を踏みにじった」と厳しく批判しました(15)。この「主席責任制」とは、軍の最高指導機関である中央軍事委員会の権限をトップの習近平主席に集中させる制度です。つまり、張又侠氏は台湾周辺での軍事演習を指揮する立場にありながら、習近平主席への絶対的な忠誠を欠いていたと見なされたのです。

 

 

 

⭐️第五列の排除と新たな国際秩序への転換

今回の張又侠失脚の背景には、より大きな地政学的な構図が隠されていると考えられます。張又侠氏は米国の国務省や国防省と接触を持ち、核機密を含む重要情報を提供していた疑いがあります。これらの組織には、既存の国際秩序を維持しようとする勢力が深く浸透しており、張氏はその協力者、いわば「第五列」としての役割を果たしていた可能性があります。

 

 

 

第五列をもう一度詳しく説明すると、敵対勢力に内通し、内部から組織を崩壊させようとする工作員を指す言葉です。まるで健康な木の内部を蝕む白蟻のように、張又侠氏は中国軍部の最高位にありながら、外部勢力と連携して習近平体制を弱体化させ、最終的には中国を内部から分裂させることを目的としていたと考えることができます。

 

 

 

誰が漁夫の利を得るでしょうか?

 

この張又侠氏が排除されたことで、中国の内部分裂の危機は回避され、国家としての統一性が保たれることになりました。そして今、世界は本格的な米国と中国のG2体制へと移行しつつあります。

 

 

 

⭐️トランプ・習近平時代の到来

トランプ(Donald Trump)大統領は2025年10月末に韓国で行われた習近平主席との首脳会談の前後に、繰り返し「G2」という言葉を使用しました(16)(17)。トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「習近平中国国家主席とのG2会談は、両国にとって素晴らしい会談だった」と投稿しました。これは、米中が並び立つ二極体制を公式に認める、歴史的な発言と言えます。

 

 

 

G2体制とは、米国と中国という二つの超大国が、互いの勢力圏を認め合いながら世界を主導していく枠組みを意味します。まるで地球儀を二つに分けるように、東半球と西半球、それぞれの影響圏を持つ新たな世界秩序です(18)(19)。すでに経済力・軍事力で中国は米国をはるかに凌いています。

 

 

 

張又侠という内部撹乱要因が排除されたことで、中国は統一された意思決定ができる体制を取り戻しました。これにより、トランプ大統領は習近平主席との間で、より安定したディール、つまり取引交渉を行うことが可能になります。両者は互いの国益を尊重しながら、協調と競争のバランスを取る関係を構築していくでしょう。

⭐️台湾問題の新たな展望

これで、突発的な台湾有事が外部勢力主導で引き起こされ、日本が壊滅的ダメージを被るリスクは大幅に遠ざかりました。張又侠氏が指揮していた台湾周辺での軍事演習は、表向きには中国の主権主張でしたが、実際には台湾海峡での緊張を高め、米中対立を煽る役割を果たしていた可能性があります。まるでマッチを持って火薬庫の周りをうろつく人物のように、張氏の行動は地域全体を危険に晒していたのです。

 

 

 

トランプ大統領は習近平主席とディールすることでしょう。習近平主席が台湾統一を目指す場合でも、それは平和裏(へいわり)に、つまり武力衝突を伴わない形で進むことになります。G2体制の下では、米中双方が自らの核心的利益を認め合い、第三国を巻き込んだ破壊的な紛争を避けるインセンティブが働くからです。

 

 

現在、中央軍事委員会のメンバーは、習近平主席と張昇民副主席のわずか2名だけという異例の状態となっています。2022年10月に7名で発足した第20期中央軍事委員会ですが、習近平氏と張昇民氏を除く5名全員が、党籍剥奪処分または調査の対象となったのです(20)。この軍部の大粛清は、短期的には組織の混乱を招くかもしれませんが、長期的には習近平主席の統制力を強化し、予測可能な意思決定を可能にします。

 

 

 

⭐️残された課題と警戒すべきリスク

ただし、楽観視はできません。習近平主席も2回の脳梗塞で倒れており、健康面での不安を抱えています。そして、トランプ大統領の任期はあと2年しかありません。この限られた時間の中で、G2体制を確固たるものにできるかどうかが、今後の世界秩序の安定を左右します。

 

 

さらに、既存の国際秩序の維持を望む勢力、つまり従来の覇権構造を守ろうとする勢力が、息を吹き返してG2体制を壊しにかかる可能性には十分気をつけなければなりません。まるで嵐が過ぎ去った後も、次の嵐雲が水平線の向こうで形成されているように、新たな対立の火種は常に存在しています。

 

 

 

張又侠のような「第五列」が再び軍部や政府中枢に浸透する可能性、トランプ大統領の後継者がG2路線を継承しない可能性、習近平主席の健康問題が再発して権力の空白が生じる可能性、これらのリスクは依然として残されています。

 

 

 

今回の軍部粛清は、単なる中国国内の権力闘争ではありません。それは、戦後80年以上続いてきた英国に支配された米国の単極支配の世界秩序から、英国から独立した米中二極体制という新たな国際秩序への歴史的転換点となる出来事なのです。世界は今、大きな地殻変動の渦中にあります。私たちは、この巨大な変化の意味を正しく理解し、注視し続ける必要があります。

 

 

 

明治維新以降、日本の自立を阻み、国力を衰退させ続けている勢力は、張又侠のバックと同じ勢力であることに気づいていください。対中強硬しか言わない人間たちの顔をよーく覚えておいてください。とりあえず突発的な台湾有事が遠ざかったことは日本にとっては幸いでした。

「参考資料」

(1) 軍制服組トップが失脚 習氏側近、「重大な規律違反」. 時事通信, 2026年1月24日
(2) 中国軍、制服組トップらを「重大な規律違反」で調査 国防省が発表. 日本経済新聞, 2026年1月24日
(3) 中国軍制服組トップと参謀長が失脚、重大な規律違反か…台湾武力統一計画に影響も. 読売新聞, 2026年1月24日
(4) China fires top general in shocking purge of senior military command. The Washington Post, 2026年1月25日
(5) China’s military purge pushes back Taiwan operation plans. Defence Blog, 2026年1月25日
(6) 中国が台湾包囲の軍事演習発表…「独立勢力と外部干渉勢力への警告」. 読売新聞, 2025年12月29日
(7) 中国人民解放軍東部戦区が演習「正義使命2025」を実施. 人民日報, 2025年12月29日
(8) 中国軍制服組トップ、核機密を米に漏えいの疑い. ウォール・ストリート・ジャーナル, 2026年1月25日
(9) 中国軍制服組トップ、核兵器に関する機密を米国に漏洩か…部下の国防相昇進で賄賂も. 読売新聞, 2026年1月26日
(10) 張又侠粛清 核機密を米国に流出とWSJ. 朝鮮日報, 2026年1月26日
(11) Readout of National Security Advisor Jake Sullivan’s Meeting with Vice Chairman of the Central Military Commission Zhang Youxia of the PRC. 在中米国大使館, 2024年8月29日
(12) 中国、制服組トップら軍高官2人を重大な規律違反などで調査. ロイター, 2026年1月25日
(13) 「習近平が脳卒中」説が拡散も 経済よりも”国家安全”が第一. 週刊文春, 2024年7月25日
(14) 中国・習近平、BRICSサミット欠席の謎…健康不安説が再燃. JBpress, 2025年7月8日
(15) 「主席責任制を破壊」 中国軍機関紙が調査対象の制服組トップらを厳しく批判. 産経新聞, 2026年1月25日
(16) トランプ氏、米中関係を「G2」と異例の表現…「G2会談は非常に良かった」. 読売新聞, 2025年11月2日
(17) 米中はG2」…習近平氏との首脳会談を「素晴らしかった」と評価. 中央日報, 2025年11月3日
(18) 「G2」演出図る年に=トランプ氏訪中やAPEC主催―「体力消耗避ける」中国. 時事通信, 2025年12月31日
(19) 米中覇権争いとトランプの米中”G2″の意味. 世界経済評論, 2025年12月1日
(20) 中国軍制服組トップを「重大な規律違反」で調査 軍最高指導機関の大半が失脚の異常事態. 産経新聞, 2026年1月24日

 

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