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『その「うがい薬」が、あなたの命を縮めているかもしれない』

『その「うがい薬」が、あなたの命を縮めているかもしれない』

 

⭐️常識を覆す発見

毎日の習慣として、食後や就寝前にうがい薬で口をすすぐ。テレビコマーシャルでは爽やかな息と白い歯の笑顔が約束され、ドラッグストアの棚には色とりどりのボトルが並んでいます。「口腔衛生の基本」として、私たちは何の疑いもなくこの習慣を続けてきました。しかし、もしこの「健康習慣」が実は逆効果で、虫歯、心臓発作や脳卒中のリスクを高め、入院中の患者の死亡率を倍増させ、糖尿病の発症を促進しているとしたら?

 

⭐️口腔粘膜という「抜け穴

一般的に、飲み込んだ物質は胃酸や肝臓という「厳重な関門」を通過しなければなりません。そのため、クロルヘキシジンも「消化管からはほとんど吸収されない」とされてきました。しかし、口腔粘膜は全く異なる吸収ルートなのです。

 

 

狭心症の舌下錠が数分で効果を発揮するように、口の中の粘膜は血管が豊富で、物質を直接血液中に取り込む能力を持っています。1975年の研究では、クロルヘキシジンが口腔粘膜に「貯蔵庫」を形成し、そこから体内に浸透していくことが確認されました(1)。2021年の研究では、蓄積されたクロルヘキシジンが最大12時間も口腔内に残留し続けることが明らかになっています(2)。

 

つまり、1回のうがいで吸収される量はわずかでも、毎日使い続けることで体内に蓄積され、無視できないレベルに達する可能性があるのです。

 

 

 

⭐️全身の臓器へのダメー

2007年、ブラジルのグラッシ(Grassi, TF)らは、ラットに0.12%クロルヘキシジン溶液を8日間投与する実験を行いました(3)。その結果、白血球と腎臓の細胞に細胞損傷が確認されたのです。

 

 

さらに2011年の中国の研究では、ラットの気管内にクロルヘキシジンを投与したところ、肺組織に重度の炎症と出血が生じました(4)。研究者たちは「肺から他の臓器への全身分布が起こり、クロルヘキシジンが他の臓器にも毒性を及ぼす可能性がある」と警告しています。

 

 

⭐️甲状腺機能障害のリス

日本の医療現場でも、クロルヘキシジンの危険性は認識されています。吉田製薬の学術情報によると、口腔粘膜などから吸収されやすく、長期間使用すると血中濃度が上昇し、甲状腺代謝異常などの副作用が現れる可能性があると報告されています(5)。

 

 

甲状腺機能が障害されると、倦怠感、体重の異常な増減、うつ状態、不整脈など、全身に深刻な影響が及びます。特に高齢者、妊婦、成長期の子どもにとって、甲状腺機能の障害は取り返しのつかない健康被害をもたらします。そして口腔への悪影響としては、唾液の減少があります。

 

 

⭐️うがい薬と虫歯の関係

2020年の研究では、クロルヘキシジンうがい薬を7日間使用した結果、唾液のpHと緩衝能力が有意に低下し、同時に唾液中の乳酸が上昇することが確認されました(6)。

 

 

健康な口腔内は通常、pH値が中性付近に保たれています。これは、乳酸を産生する細菌と、その乳酸を中和する唾液がバランスを保っているからです。ところが、クロルヘキシジンはこのバランスを完全に破壊してしまいます。緩衝能力とは、酸性物質が入ってきても中和する能力のことです。これが失われるということは、口の中が酸性の沼のような環境になることを意味します。

 

 

クロルヘキシジンが粘膜から吸収されて引き起こす甲状腺機能障害が、この問題を引き起こしているということです。2010年の研究では、甲状腺機能低下症の患者において唾液分泌速度が有意に減少し、唾液のpHも低下することが明らかになりました(7)。

 

 

 

また2017年の研究でも、甲状腺機能低下症患者では唾液分泌量が健康な人と比較して有意に少なく、口腔乾燥症(ドライマウス)の有病率が高いことが確認されています(8)。つまり、クロルヘキシジンによる甲状腺障害は、唾液の「量」を減らし、さらに「質(緩衝能力)」も低下させるという二重の打撃を与えるのです。

 

 

 

酸性環境は歯のエナメル質を溶かします。エナメル質は人体で最も硬い組織ですが、pH値が5.5以下になると脱灰、つまり溶け始めるのです。2000年の研究では、唾液のpH低下が歯のエナメル質の脱灰と虫歯、歯の喪失のリスク増加と関連していることが報告されています(9)。唾液分泌が減少すればするほど、口腔内の自浄作用が失われ、酸性化はさらに進行します。

 

 

 

この発見の皮肉は、抗菌性うがい薬が虫歯や歯周病の予防として推奨されてきたにもかかわらず、実際には直接的に口腔内を酸性化させ、さらに甲状腺機能を障害することで唾液分泌を低下させ、結果的に虫歯を促進する環境を作り出しているという点です。これは、火を消そうとしてガソリンをかけるようなものです。

 

 

⭐️うがい薬の腸への悪影響

2024年のスウェーデンの研究では、マウスに8週間クロルヘキシジンを投与したところ、糞便中の脂肪とタンパク質の排泄量が増加し、血漿インスリン濃度が低下しました(10)。つまり、栄養素が「吸収されずに排泄されている」のです。クロルヘキシジンは腸粘膜を通じて吸収され、栄養吸収のメカニズムそのものを障害していました。

 

インスリン濃度の低下と栄養吸収障害は、糖尿病の発症リスクを高める重要な因子です。実際、2015年のオーストラリアの研究では、高血圧患者が抗菌性うがい薬を使用すると血圧が上昇することが確認されています(11)。

 

 

⭐️衝撃的な死亡率の上

最も衝撃的な発見は、2018年のベルギーの大規模研究です(12)。82,274人の入院患者を分析したところ、クロルヘキシジンに曝露された患者は、曝露されなかった患者に比べて死亡リスクが2.6倍以上に上昇していました。さらに、もともと健康状態が比較的良好な患者ほど、この影響は顕著でした(オッズ比5.50)。

 

 

 

研究チームは「47.1人の患者をクロルヘキシジンに曝露させると、1人の追加死亡が発生する」という衝撃的な数字を導き出しました。研究者たちは「特定の患者集団において証明された利益がない状況での、クロルヘキシジン口腔ケアの無差別な広範囲使用に反対する」と強く警告しています。

 

 

 

クロルヘキシジンは口腔粘膜という「抜け穴」を通じて体内に侵入し、細胞損傷、甲状腺機能障害、口腔環境の酸性化および唾液分泌低下による虫歯、栄養吸収障害、糖尿病、血圧上昇など、多様な経路で全身の臓器にダメージを与えます。これらの影響が複合的に作用し、最終的に死亡リスクを高めている可能性があります。

 

「抗菌」という錦の御旗のもとに、全身に悪影響を与える塩素化合物(クロロベンゼン系化合物)という本物の毒性物質を摂取していることに気づいて頂きたいと思います。私たちの心身の健康を不調にしているのは、細菌ではありません。人工的に作り上げられた化学物質という毒物なのです。

参考文献

  1. Haugen E, Johansen JR. Penetration of the oral mucosa by radiolabelled chlorhexidine in guinea pigs. Acta Odontol Scand. 1975, 33(5), 233-239
  2. Reda B, Zijlstra WP, van der Mei HC, et al. First insights into chlorhexidine retention in the oral cavity after mouth rinsing. Clin Oral Investig. 2021, 25(8), 4929-4937
  3. Grassi TF, Camargo EA, Salvadori DMF, et al. DNA damage in multiple organs after exposure to chlorhexidine in Wistar rats. Int J Hyg Environ Health. 2007, 210(2), 163-167
  4. Xue Y, Zhang S, Yang Y, et al. Acute pulmonary toxic effects of chlorhexidine (CHX) following an intratracheal instillation in rats. Hum Exp Toxicol. 2011, 30(11), 1795-1803
  5. 吉田製薬株式会社. グルコン酸クロルヘキシジンとポビドンヨードの副作用について. 感染対策学術情報 レター. 2005
  6. Bescos R, Ashworth A, Cutler C, et al. Effects of Chlorhexidine mouthwash on the oral microbiome. Sci Rep. 2020, 10, 5254
  7. Diagonal CV, Karlsson FA, Granström L, et al. Salivary flow rate and composition in relation to thyroid dysfunction before and after radioiodine treatment. Arch Oral Biol. 2010, 55(2), 164-169
  8. Garção JMB, Cabral LAG, Almeida JD. Salivary alterations in patients with hypothyroidism. Indian J Dent Res. 2017, 28(1), 31-34
  9. Lenander-Lumikari M, Loimaranta V. Saliva and dental caries. Adv Dent Res. 2000, 14, 40-47
  10. AlBalawi F, Hepdeniz N, Barlow J, et al. Antibacterial mouthwash alters gut microbiome, reducing nutrient absorption and fat accumulation in Western diet-fed mice. Sci Rep. 2024, 14, 3713
  11. Bondonno CP, Liu AH, Croft KD, et al. Antibacterial Mouthwash Blunts Oral Nitrate Reduction and Increases Blood Pressure in Treated Hypertensive Men and Women. Am J Hypertens. 2015, 28(5), 572-575
  12. Deschepper M, Waegeman W, Eeckloo K, et al. Effects of chlorhexidine gluconate oral care on hospital mortality: a hospital-wide, observational cohort study. Intensive Care Med. 2018, 44(7), 1050-1058
  1. Statista Research Department. Usage of mouthwash/dental rinse in the United States from 2011 to 2024. Statista. 2017.
  2. Dye BA, Mitnik GL, Iafolla TJ, Vargas CM. Trends in dental caries in children and adolescents according to poverty status in the United States from 1999 through 2004 and from 2011 through 2014. J Am Dent Assoc. 2017;148(8):550-565.
  3. U.S. Food and Drug Administration. FDA issues final rule on safety and effectiveness of antibacterial soaps. FDA News Release. 2016.
  4. Weatherly LM, Gosse JA. Triclosan exposure, transformation, and human health effects. J Toxicol Environ Health B Crit Rev. 2017;20(8):447-469.
  5. Woessner M, Smoliga JM, Tarzia B, Stabler T, Van Bruggen M, Allen JD. A stepwise reduction in plasma and salivary nitrite with increasing strengths of mouthwash following a dietary nitrate load. Nitric Oxide. 2016;54:1-7.

 

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