『イーロン・マスクが語る「豊かな未来」の裏側』
〜ユニバーサル・ベーシック・インカムという名の完全監視社会〜
イーロン・マスクは、もし自分の描く未来が正しければ、退職後のための蓄えは「無意味」になるだろうと語っています[1]。テスラとスペースXの最高経営責任者(CEO)であるマスクは、AIがすべての人に「豊富な資源」をもたらすと予測している。マスクの予想する未来では、人々は「欲しいものを何でも手に入れ」、優れた医療や教育を受けられるようになるといいます。
しかし、拙著『2030年あなたのくらしはこうなる〜ようこそAI監獄へ〜』で警告したシナリオは、この「理想」の裏に隠された真実を暴いています。それは、ユニバーサル・ベーシック・インカム(UBI)という名の「自由のない生活保護」によって、全国民が完全監視下に置かれ、テクノクラシー(技術官僚支配)の奴隷となる未来です。

退職後の生活資金を貯めておくことは、100年以上にわたって個人の財務の基本とされてきました。しかし、イーロン・マスクは、近い将来それがあまり意味を持たなくなるかもしれないと話しています。
エンジニアであり医師でもあるピーター・ディアマンディスがホストを務めるポッドキャスト番組『ムーンショット・ウィズ・ピーター・ディアマンディス』の2026年1月初めに配信されたエピソード(収録は2025年12月22日)の中で、「私から一つアドバイスするとすれば、10年後や20年後のためにお金をコツコツと貯めなければいけないと心配する必要はない」と、イーロン・マスクは語っています。
「それにはもう価値はないだろう」
「もし我々が話してきたことのどれかが本当ならば、退職後のためにお金を貯めることはもうあまり意味を持たなくなる」とマスクは付け加えました。
テスラとスペースXのCEOで、世界で最も裕福な人物であり、資産総額が6000億ドル(約94兆2000億円)を超えるマスクは、人工知能(AI)、エネルギー、ロボット技術によって生産性が飛躍的に高まることで、あらゆる資源が豊富になる未来を語っています。彼によると、すべての人に「ユニバーサルな高所得」が保障される可能性があると。
しかし、ここに大きな罠があります。拙著で指摘したように、この「ユニバーサルな高所得」とは実質的にUBI――すなわち、政府(あるいはグローバル支配層)が国民全員に最低限の生活費を支給する制度です。
一見すると理想的に聞こえますが、その代償として、個人の自由、プライバシー、そして人間としての尊厳が完全に奪われます。
「良い未来は、誰でも欲しいものを手に入れられる」とマスクは語りました。「今日の誰もが受けているよりも優れた医療が、5年以内にすべての人に行き渡る」ことを意味すると彼は続けています。
「生活に必要な物やサービスが不足することはなく、さらに誰でも、興味のあることは何でも無料で学べる社会だ」
しかし、この「無料」には条件があります。UBIを受け取るためには、デジタルIDによる完全な個人認証、生体情報の登録、行動履歴の常時監視、さらにはソーシャル・クレジット・スコア(信用スコア)による評価システムへの服従が求められます。

すべての購買行動、移動履歴、健康データ、思想信条までもがAIによってリアルタイムで監視・分析され、「好ましくない行動」をとった者はUBIの減額や停止、社会サービスからの排除という制裁を受けます。
これこそが、拙著でお伝えした「テクノクラシー支配」――技術を用いた全体主義的管理社会の実態そのものです。

マスクは、この理想的な未来に移行する過程は「でこぼこ道」であり、急な変化や社会不安が起こる可能性があると警告しています。また未来が豊かになったとしても、その変化の中で人々は自分の生きがいや目的を見失う危険もあると留保をつけています。
「では、もし本当に欲しいものをすべて手に入れたとして、それは本当にあなたたちが望む未来なのだろうか」と彼は問いかけています。
「なぜなら、そうなったとすると、あなたの仕事の意味がなくなってしまうからだ」
この言葉の真意はこうです。仕事を失い、UBIに依存する社会では、人々は経済的自立を奪われ、政府やグローバル企業に完全に従属する存在となる。
労働の対価として得る所得ではなく、「与えられる」所得は、いつでも権力者の都合で操作可能になります。反体制的な言動をすれば支給停止、従順であれば継続――これは自由ではなく、檻のない牢獄です。
マスクの所有する企業は自動運転車、ヒューマノイド型ロボット、脳とコンピュータをつなぐ技術「ブレイン・コンピューター・インターフェース」、AIアシスタントなどの革新的技術を開発しており、歴史上初の1兆ドル(約157兆円)長者になりました。
これらの技術はすべて、監視と支配のインフラとして機能するのです。自動運転車はあなたの移動を追跡し、ヒューマノイド型ロボットは家庭内の行動を観察し、ブレイン・コンピューター・インターフェースは思考そのものを読み取る可能性を秘めています。AIアシスタントは、あなたの会話、嗜好、感情をデータ化し、中央管理システムに送信します。
拙著で指摘した2030年の私たちの暮らしは、まさにこの未来です。
表向きは「豊かさ」と「利便性」を謳いながら、実態は人間を完全にコントロール可能な存在へと変えるグローバル・アジェンダ。その鍵となるのがUBI、デジタル通貨、AI監視、そしてトランスヒューマニズム(人間の機械化)なのです。

それは、マスクのようなテクノクラットたちにとって「何でも手に入る未来」にすぎません。
マスクが語る未来を無批判に受け入れ、自由と引き換えに安楽を選ぶのか。それとも、真実を見抜き、人間としての尊厳と自律を守るために立ち上がるのか。

未来は、支配者によって決められるのではなく、私たち一人ひとりの意識と行動によって決められるのです。
参考記事
[1] Business Insider Japan「イーロン・マスク『退職後のために貯蓄するのは無意味になるだろう』」(2026年1月配信、ピーター・ディアマンディスのポッドキャスト『ムーンショット・ウィズ・ピーター・ディアマンディス』2025年12月22日収録エピソードより)
※拙著『2030年あなたのくらしはこうなる〜AI監獄へようこそ〜』では、パンデミック、気候変動、デジタル監視社会の構築が、グローバルエリートによる計画的なアジェンダであることを、古代の叡智と現代リアルサイエンスの視点から詳述しています。

















