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『冷凍でもプラスチックから発ガン物質が溶け出す』

 

 

とうとうヨーグルトまでプラスチックまみれであることが判明しています。米国ではジップロックに入れた食品を冷凍したり、温めることでプラスチック(発ガン物質)が食品に染み込むことが訴訟問題に発展しています。ウエルネスラジオ等で紙やプラスチック容器の危険性をお伝えしてきましたが、訴訟が続けば、大手食品会社も真剣に取り組まざるを得なくなるでしょう。

 

 

私たちが毎日何気なく使っているプラスチック容器。冷蔵庫の中には食材を保存するジップロック、朝食のテーブルにはヨーグルトのカップ、オフィスでは温かいコーヒーが入った使い捨てカップ。

 

こうした日常の風景の中に、実は目に見えない危険が潜んでいることをご存知でしょうか。まるで静かに砂糖が水に溶けていくように、プラスチック容器から微細な発ガン性をもつ化学物質が私たちの食べ物や飲み物に溶け出しています。

 

 

⭐️ジップロックをめぐる訴訟が明らかにした衝撃の事実

カリフォルニア州に住むリンダ・チェスロー(Linda Cheslow)氏は、ジップロックを製造する大手企業SCジョンソン社を相手取って訴訟を起こしました。彼女の訴えの核心は、「これらの製品が消費者の健康に危害を及ぼす可能性のあるマイクロプラスチックを放出するにもかかわらず、メーカーがその情報を開示していない」というものです。

 

 

この訴訟は集団訴訟という形式で進められており、判決が下されれば、アメリカ国内でジップロックを購入するすべての消費者に影響を与えることになります。

 

 

訴状が特に問題視しているのは、製品の表示と実態の乖離です。電子レンジでの加熱や冷凍保存によってマイクロプラスチック粒子が放出されることは、すでに複数の科学研究によって明らかにされています。

 

 

プラスチック製剤は冷凍でも完全に「不活性」ではなく、低温特有の物理ストレスによって微小な亀裂・剥離が起こり、そこからマイクロ/ナノプラスチックが食品側に移行します。プラスチックに包まれている冷凍食品は危険なのです。

 

 

2019年のレビュー論文では、プラスチック製品から食品への化学物質の移行について詳細に検証されており(1)、特に加熱条件下での移行が顕著であることが報告されています。にもかかわらず、これらの製品が「電子レンジ使用可能」や「冷凍保存可能」として販売されていることは、消費者を誤解させているというのが原告側の主張なのです。

 

 

⭐️マイクロプラスチックとは何か―見えない敵の正体

マイクロプラスチックとは、ミリメートル未満という極めて小さなプラスチックの破片です。たとえるなら、髪の毛の太さよりもはるかに小さな粒子です。これらは、より大きなプラスチック片が時間の経過とともに分解されたときに残される残骸のようなものです。2018年の研究では、マイクロプラスチックが食物連鎖を通じて人体に蓄積される可能性が指摘されており(2)、その健康影響について世界中で懸念が高まっています。

 

 

マイクロプラスチックの発生源は、飲み物だけに限りません。テイクアウト用の容器、プラスチック製のまな板、ノンスティック加工が施された調理器具、さらにはプラスチック製の蓋が付いたガラス容器なども、主要な発生源として指摘されています。2020年の研究では、プラスチック製の調理器具から食品へのマイクロプラスチックの移行が定量的に測定されており(3)、日常的な調理作業が予想以上にマイクロプラスチック曝露の機会となっていることが明らかになっています。

 

 

⭐️紅茶とコーヒーに潜む意外な危険

イギリスのバーミンガム大学の研究チームは、人々が日常的に摂取する飲み物を通じて、どの程度マイクロプラスチックに曝露されているかを明らかにするため、大規模な調査を実施しました。研究チームは、イギリスで入手可能な31の人気ブランドから合計155種類の飲料を集め、それぞれに含まれるマイクロプラスチックの量を測定しました。

 

 

調査の結果は驚くべきものでした。マイクロプラスチックの濃度が最も高かったのは、紅茶やコーヒーといった温かい飲み物だったのです。朝の目覚めに欠かせない一杯のコーヒーや、午後のひとときを彩る紅茶が、実はマイクロプラスチックの主要な摂取源となっていたのです。

2019年の研究では、ティーバッグ自体からマイクロプラスチックが放出されることが報告されており(4)、一杯の紅茶から数十億個ものマイクロプラスチック粒子が検出されています。

興味深いことに、研究チームがアイスティーやアイスコーヒーに含まれるマイクロプラスチックの量を調べたところ、検出量は温かい飲み物と比較して大幅に少ないことが分かりました。

この結果は、高温という条件や、温かい飲み物を作る際の製造プロセスが、最終的に製品中のマイクロプラスチック量を増やす重要な要因になっている可能性を示唆しています。熱がプラスチックからの化学物質の溶出を促進することは、2017年の研究でも確認されています(5)。

 

 

研究チームの測定方法は厳密なものでした。冷たい飲み物は採取後すぐにろ過し、温かい飲み物は30分間冷ましてからろ過した後、顕微鏡による画像解析でマイクロプラスチックの数を正確に測定しました。

 

 

その結果、使い捨てカップで提供されたホットティーからは最も多くのマイクロプラスチックが検出され、1杯あたり平均22個に上りました。一方、ガラスカップで提供された場合は平均14個と、容器の材質によって大きな差が見られたのです。

 

 

さらに興味深い発見として、高価格帯のティーバッグほどプラスチックの溶出量が多く、1杯あたり平均24から30個のマイクロプラスチックが検出されました。高級品だからといって必ずしも安全とは限らない、という皮肉な結果が示されたのです。

 

 

⭐️「自然由来」の看板に揺らぐヘルシーブランドの信頼

アメリカのスーパーマーケットで広く販売されている「チョバーニ(Chobani)」は、ギリシャヨーグルトの火付け役ともいえる食品ブランドです。ヘルシー志向の消費者なら、海外旅行中に一度は手にしたことがあるかもしれません。そんな人気ブランドが現在、ある集団訴訟を受けて揺れています。

 

訴訟を起こしたのは、2023年にチョバーニの無脂肪プレーンギリシャヨーグルトを購入したカリフォルニア州の住民です。原告は、虚偽広告によって消費者を欺いたとして同社を起訴しました。チョバーニは、自社のヨーグルトを「自然由来の原料のみ」を使用していると大々的に宣伝してきました。

 

 

しかし、この訴訟によると、第三者機関PlasticListが実施した検査において、チョバーニのヨーグルトから「人工のプラスチック化学物質」が検出されたというのです。ヘルシーさを最大の売りにしているブランドだけに、このニュースは業界に大きな波紋を広げています。

 

 

今回の検査で検出されたのは、4種類の「フタル酸エステル類」と呼ばれるエストロゲン作用をもつ化学物質でした。フタル酸エステル類は、プラスチックに柔軟性を持たせるために使われる添加物です。

 

 

しかし、この物質については深刻な健康への懸念が指摘されています。2015年の総合的レビュー論文では、フタル酸エステル類が生殖機能や内分泌系に悪影響を与えることが詳細に報告されており(6)、さらに特定のフタル酸エステルががんを引き起こす可能性についても研究が進められています。

 

 

2021年の研究では、食品包装材料からのフタル酸エステルの移行が定量的に評価されており(7)、プラスチック容器から食品への化学物質の移行は避けられない現実であることが示されています。

 

 

今回のケースでは、もともとチョバーニのプラスチック容器に含まれていたフタル酸エステル類が、時間とともに容器からヨーグルトへと溶け出した可能性が高いと見られています。まるでティーバッグから紅茶の成分がゆっくりと染み出すように、容器からも化学物質が移行していたのです。

 

 

原告は、フタル酸エステル類が含まれていることを知っていたら、チョバーニのヨーグルトを購入しなかったと主張しています。この訴訟は、定められた期間内に、チョバーニの無脂肪プレーンギリシャヨーグルトや全乳プレーンギリシャヨーグルトなどの商品を購入したすべてのアメリカ居住者を代表して行われる予定です。

 

 

しかし、この訴訟についてコメントを求められたチョバーニ社は、「当社は、原告であるウィソツキ(Wisocki)氏の主張は根拠に乏しいとして棄却を申し立てました。これを受けて裁判所は、8月に開かれた審理において、この訴訟を正式な命令で棄却する意向を示しました。当社の商品は、これまで通り、自然由来の原料のみを使用しています。裁判所の決定を心待ちにしています」と述べています。

 

 

 

 

⭐️私たちにできること―未来への選択

これらの訴訟や研究が明らかにしているのは、私たちが日常的に使用しているプラスチック製品が、目に見えない形で私たちの健康に影響を与えている可能性があるという事実です。2022年の画期的な研究では、人間の血液中からマイクロプラスチックが検出されたことが報告されており(8)、この問題がもはや仮説ではなく現実であることを示しています。

 

 

 

消費者として、また将来世代の健康を守る立場にある私たちは、より慎重な選択をする必要があるでしょう。ガラス容器やステンレス製の容器を選ぶこと、電子レンジでプラスチック容器を使用しないこと、高温の飲み物をプラスチックカップで飲まないことなど、日常生活の中でできる工夫は数多くあります。

 

そして何より、企業に対して透明性のある情報開示を求め続けることが重要です。私たちの選択が、より安全な製品の開発と、誠実な企業活動を促す力となるのです。

 

 

参考文献

(1) Groh KJ, et al. Overview of known plastic packaging-associated chemicals and their hazards. Sci Total Environ. 2019, 651, 3253-3268.

(2) Barboza LGA, et al. Microplastics in the marine environment: Current trends and future perspectives. Mar Pollut Bull. 2018, 133, 336-348.

(3) Kedzierski M, et al. Microplastic contamination of packaged meat: Occurrence and associated risks. Food Packag Shelf Life. 2020, 24, 100489.

(4) Hernandez LM, et al. Plastic teabags release billions of microparticles and nanoparticles into tea. Environ Sci Technol. 2019, 53, 12300-12310.

(5) Nerin C, et al. The challenge of identifying non-intentionally added substances from food packaging materials: A review. Anal Chim Acta. 2017, 775, 14-24.

(6) Meeker JD, et al. Phthalates and other additives in plastics: human exposure and associated health outcomes. Philos Trans R Soc Lond B Biol Sci. 2015, 364, 2097-2113.

(7) Fasano E, et al. Migration of phthalates, alkylphenols, bisphenol A and di(2-ethylhexyl)adipate from food packaging. Food Control. 2021, 27, 132-138.

(8) Leslie HA, et al. Discovery and quantification of plastic particle pollution in human blood. Environ Int. 2022, 163, 107199.

 

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