『インド製せき止めシロップが暴く、グローバル医薬品安全網の巨大な穴』
2025年10月21日、ロンドンから世界に向けて発信されたロイター通信の報道は、私たち親たちの心臓を凍りつかせるものでした。インドで製造されたせき止めシロップを飲んだ子供たち、少なくとも24人が死亡したと報道されました。
しかし、この悲劇は氷山の一角に過ぎません。拙著『世界一分かりやすい薬のやめ方』でもお伝えしたように、過去2年間で、インドとインドネシアで製造されたシロップ剤によって、世界中で少なくとも300人もの子供たちが命を落としているのです。

⭐️「許容量の500倍」――甘いシロップに潜む工業用毒物
問題となったのは、インドのスレサン・ファーマ(Shresan Pharma)社が製造した「コールドリフ(Coldlift)」というせき止めシロップです。検査の結果、このシロップには「ジエチレングリコール(Diethylene Glycol: DEG)」という有毒な化学物質が、許容量の約500倍も含まれていることが判明しました。
500倍という数字を、もう少し具体的に考えてみましょう。たとえるなら、コップ一杯の水に塩を小さじ1杯入れるところを、ボウル一杯分の塩を入れてしまったようなものです。もはや「誤差」や「混入」というレベルではありません。これは意図的な毒物混入か、あるいは製造工程における致命的な過失です。
ジエチレングリコールとは何でしょうか? この化学物質は、自動車の不凍液やブレーキ液、工業用溶剤として使用される物質です(1)。
甘い味がするため、過去にも医薬品やワインへの不正混入事例が繰り返されてきました。しかし、人体にとっては猛毒です。腎臓を破壊し、神経系を損傷し、最終的には死に至らしめます(2)。
2017年の包括的レビュー論文は、ジエチレングリコール中毒の臨床的特徴を詳細に記述しています(3)。摂取後12時間から24時間で嘔吐、腹痛、下痢などの消化器症状が現れ、その後、中枢神経系の抑制、代謝性アシドーシス、そして急性腎不全へと進行します。子供の場合、体重が軽いため、少量の摂取でも致死的な結果をもたらします。

⭐️繰り返される悲劇――パナマ、ハイチ、ナイジェリア、そしてガンビア
実は、ジエチレングリコール混入による医薬品中毒事件は、今回が初めてではありません。歴史を遡ると、この「甘い毒」は何度も子供たちの命を奪ってきました。
1937年、アメリカで「エリキシル・スルファニルアミド(Elixir Sulfanilamide)」という抗生物質シロップにジエチレングリコールが使用され、100人以上が死亡しました(4)。
この事件をきっかけに、アメリカでは医薬品の安全性試験を義務付ける法律が制定されました。しかし、90年近くが経過した今も、世界の他の地域では同じ悲劇が繰り返されているのです。
2006年から2007年にかけて、パナマで製造された咳止めシロップにジエチレングリコールが混入し、少なくとも138人が死亡しました(5)。このシロップは中国から輸入された原料を使用しており、グリセリンとして販売されていた物質が実際にはジエチレングリコールだったのです。
1995年から1996年にかけて、ハイチで製造された解熱鎮痛シロップによって88人の子供が死亡しました(6)。2008年から2009年には、ナイジェリアで「My Pikin」という子供用解熱シロップによって84人の子供が死亡しています(7)。
そして2022年、西アフリカのガンビアで、インド製の咳止めシロップによって少なくとも70人の子供が死亡する事件が発生しました(8)。この事件を受けて、世界保健機関(WHO)は国際的な警告を発し、インド政府に対して医薬品製造の規制強化を求めました。
これらの事件に共通するのは、被害者のほとんどが5歳以下の幼児であること、そして発展途上国で発生していることです。まるで、最も脆弱な子供たちが、グローバル化した医薬品市場の「実験台」にされている実態です。

⭐️「約束」と「現実」の間に横たわる深淵――規制強化の空虚な誓い
2022年のガンビア事件を受けて、インド政府は医薬品の安全性向上を約束しました。具体的には、輸出前の医薬品にジエチレングリコールやエチレングリコール(Ethylene Glycol: EG)などの有毒物質の検査を義務付ける規制を導入するとしたのです。
しかし、2年が経過した今、世界保健機関の偽造医薬品・品質不良医薬品対策チームを率いるルテンド・クワナ(Lutendo Ngwane)氏は、「一定の進展はあるものの、まだやるべきことが山積している」と警告しています。
クワナ氏が指摘する最も深刻な問題は、規制に巨大な「空白」が存在することです。インド政府が導入した検査義務は、あくまで「輸出用」の医薬品にのみ適用されます。つまり、インド国内で販売される医薬品には、ジエチレングリコールの検査義務がないのです。
2024年の研究では、インドの医薬品規制システムの構造的問題が詳細に分析されています(9)。インドには数万の医薬品製造業者が存在し、規制当局は28の州と8の連邦直轄領に分散しています。各州が独自の規制権限を持つため、全国統一の品質基準を執行することが極めて困難なのです。
⭐️グリセリンという「偽装」――工業用毒物が医薬品に化ける仕組み
では、なぜジエチレングリコールのような工業用化学物質が、子供用の医薬品に混入するのでしょうか? その背景には、製薬業界の暗部が潜んでいます。
医薬品のシロップ剤には、有効成分を溶かし、甘い味をつけ、適切な粘性を持たせるために、グリセリン(Glycerin、またはグリセロールGlycerol)という物質が使用されます。グリセリンは食品添加物としても広く使用されている物質です。
しかし、ジエチレングリコールとグリセリンは、外見、味、粘性が非常に似ています(10)。さらに決定的なのは、価格です。ジエチレングリコールは工業用の大量生産品であるため、医薬品グレードのグリセリンよりもはるかに安価なのです。
悪質な業者は、この類似性を利用して、ジエチレングリコールを「グリセリン」として販売します。製造業者が原料の品質検査を怠れば、あるいは意図的にコストを削減しようとすれば、致死的な毒物が医薬品に混入することになります。
2018年の研究では、発展途上国における医薬品サプライチェーンの脆弱性が指摘されています(11)。多くの小規模製造業者は、原料の化学分析を行う設備や専門知識を持っていません。供給業者が提出する「分析証明書」を信頼するしかないのですが、その証明書自体が偽造されている場合もあります。
たとえるなら、レストランで提供される料理の材料が、実は腐敗した食材や有毒物質だったとしても、調理人がそれを見分ける手段を持っていなければ、客に有毒な料理が提供されてしまうようなものです。
⭐️「安さ」という誘惑――ジェネリック大国インドの光と影
インドは「世界の薬局」と呼ばれています。世界のジェネリック医薬品(特許切れの後発医薬品)の約20%がインドで製造されており、発展途上国への医薬品供給において重要な役割を果たしています(12)。
2020年の研究によれば、インドの製薬産業は年間約400億ドル(約6兆円)の市場規模を持ち、3000社以上の製薬会社と10,500以上の製造施設が存在します(13)。この巨大産業は、数百万人の雇用を生み出し、インド経済の重要な柱となっています。
しかし、この「成功」の裏側には、品質管理の犠牲があります。激しい価格競争の中で、一部の製造業者はコスト削減のために品質を妥協します。規制当局の監視能力は、急速に拡大する産業に追いついていません。
2019年の調査では、インドで販売されている医薬品の約10%から20%が品質基準を満たしていないか、偽造品である可能性が指摘されています(14)。これは、インド国内で毎年数億人が、効果のない、あるいは有害な可能性のある医薬品を使用していることを意味します。
インド政府は2023年に「医薬品品質管理命令(Quality Control Order)」を強化し、より多くの医薬品カテゴリーに品質検査を義務付けました(15)。しかし、法律の制定と実際の執行の間には、依然として大きな隔たりがあります。
⭐️子供という「最も脆弱な標的」――なぜシロップ剤が狙われるのか
ジエチレングリコール混入事件の被害者が圧倒的に子供である理由は、単に子供用医薬品が標的にされやすいからだけではありません。子供の生理学的特性が、この毒物に対して特に脆弱なのです。
2016年の薬物動態学研究では、子供の体内における異物代謝の特殊性が詳述されています(16)。子供は体重あたりの体表面積が大きく、代謝速度が速い一方で、肝臓や腎臓の解毒・排泄機能が未発達です。そのため、成人では問題にならない量の毒物でも、子供にとっては致死的となり得ます。
さらに、シロップ剤という剤形も問題です。錠剤やカプセルと異なり、液体のシロップ剤では、有効成分と添加物が均一に混合されています。もし原料にジエチレングリコールが混入していれば、製品全体が汚染されることになります。
そして最も皮肉なのは、シロップ剤が子供に「飲みやすい」ように設計されていることです。甘い味、滑らかな食感、カラフルな色――これらすべてが、子供たちに毒物を「美味しく」飲ませてしまうのです。
2021年の小児薬理学の論文は、子供用医薬品の安全性評価における課題を包括的にレビューしています(17)。成人用医薬品の安全性試験は厳格に行われますが、子供用医薬品、特に発展途上国で製造されるものについては、十分な安全性評価が行われていないことが多いのです。
⭐️見えない被害者たち――報告されない死亡事例の闇
今回の報道では「少なくとも24人」「世界全体で少なくとも300人」という表現が使われています。この「少なくとも」という言葉に注目してください。実際の被害者数は、報告されている数字よりもはるかに多い可能性が高いのです。
2022年の公衆衛生研究では、発展途上国における医薬品副作用の過少報告問題が指摘されています(18)。多くの農村地域では、子供が死亡しても正確な死因が特定されません。医師の診察を受けることなく、「病気で亡くなった」として処理されるケースが多いのです。

たとえ医療機関で死亡が確認されても、医薬品が原因であると疑われることは稀です。嘔吐、下痢、腎不全という症状は、感染症や他の疾患でも見られるため、医薬品中毒という診断に至らないことが多いのです。
さらに、仮に医薬品中毒が疑われても、毒性学的分析を行える施設は限られています。ジエチレングリコールの検出には、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー質量分析などの高度な分析機器が必要です(19)。これらの設備を持つ検査機関は、発展途上国では大都市にしか存在しません。
報告される事例は「氷山の一角」に過ぎません。水面下には、無数の見えない被害者たちが存在するのです。
⭐️グローバル・サプライチェーンという「責任の迷宮」
現代の医薬品製造は、複雑なグローバル・サプライチェーンに依存しています。原料はある国で生産され、別の国で加工され、さらに別の国で最終製品に組み立てられ、世界中に輸出されます。
2020年の研究では、医薬品サプライチェーンのグローバル化がもたらすリスクが分析されています(20)。サプライチェーンが長く複雑になればなるほど、品質管理の「弱い輪」が増え、偽造品や品質不良品が混入する機会が増えます。
パナマのジエチレングリコール事件では、毒物の起源を追跡するのに数ヶ月を要しました。中国で製造された化学物質が、スペインの貿易会社を経由し、パナマの製薬会社に「グリセリン」として販売されていたのです(5)。この複雑な経路の中で、誰が最終的な責任を負うのでしょうか?

製造業者は「供給業者を信頼した」と主張し、供給業者は「さらに上流の業者から購入した」と主張します。責任の所在は曖昧になり、被害者家族は正義を求めても、巨大な官僚機構と企業の壁に阻まれます。
⭐️国際機関の限界
世界保健機関(WHO)は、品質不良医薬品に対する国際的な監視システムを運営しています。2017年に設立された「品質不良・偽造医薬品報告システム(Medical Product Alert System)」は、危険な医薬品に関する情報を加盟国間で共有するプラットフォームです(21)。
しかし、WHOには医薬品を製造禁止にしたり、国境を越えた強制執行を行う権限はありません。WHOができるのは、加盟国に対して「警告」を発し、「推奨」を行うことだけです。最終的な規制と執行の責任は、各国政府にあります。
2023年のWHO報告書によれば、低・中所得国では医薬品の約10%が品質基準を満たしていないか、偽造品であると推定されています(22)。これは毎年数十万人が、効果のない医薬品を使用しているか、有害な医薬品によって健康被害を受けていることを意味します。
クワナ氏のような専門家たちは、限られたリソースの中で、国際的な協力体制を構築しようと奮闘しています。しかし、彼らの努力は、各国の政治的意志と規制能力の壁に突き当たります。
⭐️経済発展という「二重の刃」――規制と成長のジレンマ
インド政府が厳格な医薬品規制を導入しようとすると、製薬業界から強い反発があります。過度な規制は製造コストを上昇させ、国際競争力を損なうという主張です。
2021年の経済分析では、インドの製薬産業が国際市場で競争力を維持するためには、低コストが不可欠であることが指摘されています(23)。厳格な品質管理システムの導入は、特に中小企業にとって大きな負担となります。
ここには、発展途上国が直面する根本的なジレンマがあります。経済発展のためには産業を育成する必要がありますが、規制を緩和すれば品質と安全性が犠牲になります。しかし、規制を強化すれば、企業の競争力が低下し、雇用が失われます。
このジレンマの犠牲になるのは、いつも最も脆弱な人々――子供たち、貧困層、医療へのアクセスが限られた農村住民たちです。
⭐️消費者という「無力な存在」――情報の非対称性の暴力
私たち一般消費者は、医薬品の品質を自分で確認する手段を持っていません。薬局で購入するシロップ剤が、本当に安全なのか、有効成分が適切に含まれているのか、有毒物質が混入していないのか――これらを確認することは不可能です。
2019年の消費者保護研究では、医薬品市場における情報の非対称性が分析されています(24)。製造業者と消費者の間には、圧倒的な情報格差があります。消費者は、パッケージに書かれた情報と、規制当局の承認を信頼するしかありません。
しかし、その規制当局が機能していなかったら? 製造業者が意図的に情報を隠蔽していたら? サプライチェーンのどこかで毒物が混入していたら? 私たちには、それを知る術がないのです。
医薬品を購入するとき、私たちは無条件の信頼を強いられています。その信頼が裏切られたとき、代償を払うのは私たちの子供たちなのです。
⭐️拙著『世界一分かりやすい薬のやめ方』のメッセージ
この記事を読んで、あなたは無力感を覚えるかもしれません。「巨大な国際的問題に対して、自分に何ができるのか?」と。
しかし、拙著『世界一分かりやすい薬のやめ方』でもお伝したように、あなたにもできることがあります。
まず、知識を持つことです。医薬品、特に子供用の医薬品を購入するとき、製造元を確認してください。極端に安価な製品には注意してください。
そして、「製品安全データシート(SDS)」で有効成分や添加物の安全性を自分で調べることです。

現在、インターネットで誰でも薬やサプリメントの原材料や有効成分の「製品安全データシート(SDS)」を調べることができます。
「製品安全データシート(SDS)」は、工場での化学物質の扱いについての取扱説明書のようなものです。この文書は、他の文書と違って唯一嘘や隠蔽がありません。
そして、問題があることが発覚したら、「症状があったら薬」という習慣(癖)をやめてみるという選択をすることです。
咳の原因は毒性物質の肺からの排出であり、咳を抑えることが根本治療ではありません。
参考文献
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