中年期の食べ物で人生の質が37%変わる!?「魔法の炭水化物」の秘密を解明
私たちは、炭水化物に「敵」のイメージを抱いてしまっているかもしれません。糖質オフ、糖質制限、ケトン体ブーム──近年の健康ブームでは、炭水化物はまるで悪者のように扱われがちです。
でも、果たしてそれは本当でしょうか?
アメリカで長年にわたり約4万7000人の女性を追跡した大規模研究「ナース・ヘルス・スタディ」から、驚くべき事実が報告されました。研究者たちは、参加者の食事内容と加齢に伴う健康状態の関係を詳細に分析しました。
その結果──中年期(おおよそ50歳前後)に「ある種の炭水化物」をしっかり食べていた人たちは、老後も健康的に生きられる確率がなんと37%も高かったのです。
参考文献
・Dietary Carbohydrate Intake, Carbohydrate Quality, and Healthy Aging in Women. JAMA Netw Open. 2025 May 1;8(5):e2511056.・
「ヘルシーエイジング」とは何か?
この研究で使われた「ヘルシーエイジング」という指標は、「年をとっても、持病がなく、心の健康も良好で、認知機能や体の動きにも問題がない」という、まさに理想的な老後の状態を意味します。
研究で定義された「ヘルシーエイジング」とは、以下のようにまさに理想的な老後の姿です:
・11種類の主要な慢性疾患(糖尿病、心臓病、がんなど)がない
・精神的に健康で明るい
・記憶力や判断力が衰えていない
・体が元気で自由に動ける
つまり──寝たきりにならず、ボケず、気分も晴れやかで、人生を自分らしく楽しめるかどうか。
それを左右する要因のひとつが「中年期の炭水化物の摂取」だったのです。
糖質制限ではなく、炭水化物は“質”を問え!
この研究では、「精製炭水化物」として、精製穀物(Refined Grains)、添加糖(Added Sugars)、そしてジャガイモなどのデンプン質が多い食事では、ヘルシーエイジング(理想的な老後を迎える確率)の確率が13%も低下していました。
研究での精製炭水化物とは何か?
米国の疫学研究で「精製炭水化物」や「添加糖」が健康リスクとして議論される場合、主な対象は精白小麦製品(refined wheat products)と遺伝子組み換えコーンシロップ(HFCS)を多く含む食品です。白米や砂糖・ハチミツではありません。
これらは「西洋型食事パターン(Western dietary pattern)」の主要構成要素としても位置づけられています。
米国の食事における「精製穀物」は、精白小麦(refined wheat flour)を主原料とする食品(白パン、パスタ、クラッカー、焼き菓子など)が圧倒的多数を占めています。
米国の「添加糖」には白砂糖(sucrose)と遺伝子組み換えコーンシロップ(HFCS)が含まれますが、1970年代以降、遺伝子組み換えコーンシロップ(HFCS)は清涼飲料や加工食品の主要な甘味料となっています。
遺伝子組み換えコーンシロップ(HFCS)は、米国の加工食品や飲料の添加糖の中で最大のシェアを占めており、特に清涼飲料水ではほぼ唯一のカロリー甘味料です。
参考文献
・Perspective: Refined Grains and Health: Genuine Risk, or Guilt by Association? Adv Nutr. 2019 Apr 4;10(3):361–371.
・Whole Grain and Refined Grains: An Examination of US Household Grocery Store Purchases. J Nutr. 2021 Oct 28;152(2):550–558.
・Consumption of high-fructose corn syrup in beverages may play a role in the epidemic of obesity. Am J Clin Nutr. 2004 Apr;79(4):537-43.
・High-fructose corn syrup: is this what’s for dinner? Am J Clin Nutr. 2008 Dec;88(6):1722S-1732S.
・Fructose and Cardiometabolic Health: What the Evidence from Sugar-Sweetened Beverages Tells Us. J Am Coll Cardiol. 2015 Oct 6;66(14):1615–1624.
この事実は、「砂糖悪玉説」「果糖悪玉説」や「白米日本人虚弱説」を強硬に主張する人たちにとって不都合な真実です。
本物の炭水化物と偽物の区別が大事
糖質制限者は、意図的に人工加工品を本来の炭水化物とひとまとめにしていますが、精製小麦や遺伝子組み換えコーンシロップは超加工食品であり、自然の炭水化物とはいえません。精製小麦はリーキーガットを引き起こす化学物質が含まれていますが、白米にはそのような化学物質は存在していません(米の問題は、ヒ素などの重金属汚染であり、その場合は白米よりむしろ玄米の方が危険です)。
コーンシロップ(HFCS)は、砂糖(ショ糖)よりも安価であるだけでなく、グリホサート汚染などの複数の問題を抱えています。このような人工的な加工食品を避け、自然の炭水化物(フルーツ、自然の甘味料、米、芋類など)を食べていれば、ヘルシーな晩年をむかえることができます。
なぜ、本物の炭水化物が健康を守るのか?
今回の研究では、炭水化物にはビタミンやミネラルが豊富に含まれていますが、注目すべきはその「食物繊維」と「血糖値安定作用」が指摘されています。
自然の炭水化物(精製小麦やコーンシロップを除く)は、
・血糖値やインスリン値を急上昇させず、体の炎症や老化を防ぎます。
・脳神経のエネルギーを高め、認知機能の低下やうつ症状の予防にも役立ちます。
フルーツや自然の甘味料は、果糖を含むため、糖尿病の治療効果(糖の細胞内利用を高める→結果的に血糖値が低下)があるのです。
デンプン質のイモ類も、果糖の入ったフルーツ、ショ糖やハチミツなどの自然の甘味料と一緒に摂取されば、よい糖質の供給源になります。
言い換えれば、本物の炭水化物は「心と体の老化防止剤」なのです。
未来の健康は今日の選択で決まる
アンチエイジング効果抜群の「魔法の炭水化物」は決して特別な食材ではありません。私たちの周りにある自然な食材を選び、加工された食品を避けるという、シンプルな選択の積み重ねなのです。
あなたの健康寿命を37%アップさせる力は、今日のお買い物かごの中に眠っています。