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『トウモロコシは栄養豊富という誤解について〜その2』

 

トウモロコシが栄養豊富というのも誤解があります。

トウモロコシを主食すると、ナイアシノマイド(動物性ビタミンB3)が欠乏して、ペラグラ(認知症、皮膚炎、下痢)という病態を引き起こします。

トウモロコシには、ナイアシンが含まれています。しかし、これは植物性ビタミンB3であり、ほとんど吸収利用できません(The relationship of pellagra to corn and the low availability of niacin in cereals. Experientia Suppl. 1983:44:197-222.)。

さらに、トウモロコシにはナイアシノマイド(動物性ビタミンB3)の原材料となるトリプトファンというアミノ酸が欠乏しているため、主食にするとペラグラになりやすくなります(Pellagra in South Africa from 1897 to 2019: a scoping review. Public Health Nutr. 2021 Jun;24(8):2062-2076.)。

 

 

ザンビアは国連によるアフリカへの飢餓対策でGMコーンを送りましたが、これを拒絶したくらいです(『Zambia Refuses Genetically-Modified US Corn – 2002-10-30』VOANews, October 30, 2009)。

 

それでは、南米やメキシコなどトウモロコシ主食の地域でペラグラが発症していないのはなぜでしょうか?

それは、トウモロコシ食品のトルティーヤ(Tortilla)の特性によります。

 

トルティーヤの材料である「マサ(masa)」は、アルカリ処理されたとうもろこしを挽いて作られています。

トルティーヤのような伝統的なとうもろこし食品は、ニシュタマリゼーション(nixtamalization)というアルカリ処理(石灰水で煮る)を経ており、これにより植物性のナイアシンの吸収が改善されるため、ペラグラを防ぐ効果があります。

 

あと、トウモロコシを含めた穀物は、一般的にリンが豊富に含まれています。

 

 

リンが過剰になると糖尿病や骨粗鬆症になります。

 

トウモロコシのリンは、フィチン酸と結合して、わたしたちの小腸でほとんど吸収されません。

 

しかし、牛などの反芻動物ではフィチン酸とリンの結合を外す酵素が消化管内で存在します。

 

したがって、牛に本来の食べ物でないトウモロコシなどの穀物を与えると、リンが高くなり、あらゆる病態を招くことになります(穀物を与えられた牛が屠殺されるときには、糖尿病の末期です)。

 

トウモロコシは、アルカリ処理などの工夫をしない限り、あまり常食するものではありません。

 

アジア人は温かい米を食べるのが、もっとも安全なデンプン質の摂取方法となるでしょう😃。

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