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『政府の「緊急要請」と監視社会への移行』

『政府の「緊急要請」と監視社会への移行』

――移民問題の次はサイバー攻撃――

 

⭐️防災大臣の「緊急要請」

 

最近、スーパーに買い物に行っても、システム障害があちこちで起きています。そして、連日の情報漏洩のニュース。そして極め付けは、細野防災担当大臣の発言でした。防災庁が発足する11月2日に、国民と全国の自治体、中央省庁に向けて「緊急要請」を出すと表明したのです。内容は「最低3日、できれば1週間、公的な支援がなくても自宅で食べ物、水、トイレをまかなえるようにしてほしい」というものです。

 

 

 

防災庁設置に関する資料では、南海トラフ地震や首都直下地震、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震、富士山の噴火などへの備えが背景として紹介されています[1]。

 

 

 

もっとも、1週間分の備蓄という目安自体は新しいものではありません。家庭で備える必要性は、以前から呼びかけられてきました。

 

 

 

それでも、「緊急」という言葉は人々の受け止め方を変えます。通常の防災の呼びかけが、差し迫った危険への警告として聞こえるからです。

 

 

 

戦争や大規模なサイバー攻撃を予測する人が出てくるのも、無理もありません。

 

 

 

しかし、家庭に自助を求めるなら、政府と事業者の側が何を実行しているかも、同じように問われなければなりません。支援が届くまでの体制はあるのか。物流を維持できるのか。停電や断水への備えは進んでいるのか。自力で備えにくい人を、誰が支えるのか。

 

 

 

家庭の備蓄を求めることが、公的な責任逃れ(危機が引き起こされることを知っている)になっていないでしょうか?

 

 

 

 

今夜、電気と通信が止まったら、あなたの家では何日暮らせるでしょうか(過去記事参照)。

 

 

 

原因が地震でも、停電でも、サイバー攻撃でも、生活に現れる問題には共通点があります。水が出ない。商品が届かない。支払いができない。連絡がつかない・・・・

 

 

 

私たちの暮らしは、思っている以上に細いデジタルの糸でつながっているのです。

 

 

 

⭐️物流は社会の血管、サイバー攻撃は血栓

 

スーパーの棚に毎朝商品が並ぶのは、目に見えないところで、注文のデータとトラックが流れ続けているからです。その流れが詰まれば、影響は社会全体に及びます。

 

 

 

実際に2025年秋には、大手ビール会社のアサヒグループがランサムウェア攻撃を受けて受注と出荷のシステムが止まり、国内のビール工場の生産が一時ストップしました[2]。

 

 

 

そして、止まった暮らしを取り戻すとき、もう一つの問題が生まれます。

 

 

⭐️財布のお金に、他人の許可が必要になる

 

財布に現金があれば、店で代金を払えます。電子決済では、その間に決済会社が入ります。会社が取引を止めれば、残高があっても支払いは止まります。

 

 

 

例えば、PayPalの米国向け利用規定は、銃器や弾薬などの取引への利用を禁じています。法律に従って売買する場合でも、PayPalを通じた支払いには、会社独自の規則が適用されます[3]。

 

 

 

お金は自分のものでも、その使い道には決済会社が関与する。これが電子決済の持つ力です。

 

 

 

元ブラックロックのポートフォリオマネジャー、エド・ダウド氏は、この問題をさらに踏み込んで警告しています。

 

 

 

店に肉が並んでいる。財布にお金もある。それでもレジで「今月の購入上限に達しました」と拒否される――。同氏が挙げた将来の例です。

 

 

 

さらにダウド氏は、この仕組みを導入する引き金として、サイバー攻撃による金融危機の可能性を挙げています。銀行や決済が止まり、人々が復旧を求める。その切迫した場面で、新たな管理の仕組みが差し出される、という予測です[4]。

 

 

 

「支払いを取り戻すために、何を買えるか決める権限まで預ける」。この危険を、ダウド氏は警告しているのです。

 

 

 

⭐️電気やネットが戻っても、監視は続く

 

レジが動く。電気がつく。スマートフォンがつながる。人々は復旧に安堵し、いつもの生活へ戻っていきます。

 

 

 

そこで見落としやすいのが、危機の間に増えた管理です。

 

 

 

本人確認の回数が増える。行動や取引の記録が蓄積される。サービスを使うたび、システムの判定を受ける。その仕組みが復旧後も続けば、緊急時の管理は、毎日の暮らしを縛るルールとして定着します。

 

 

 

危機の間に受け入れた条件が、危機の後の自由を決める。ここに、管理が日常へ根を張る危うさがあります。

 

 

 

⭐️SNSを眺めるより、準備をしておく

 

ニュースを追う時間の一部を、手を動かす時間に変えてください。

 

 

 

食料を備蓄する。飲み水を確保する。懐中電灯をつけてみる。

 

 

 

水と食料、非常用トイレ、明かり、電源をそろえる。少額の現金と、紙の連絡先を持つ。家族の集合場所を決める。一つのサービスが止まっても動けるよう、別の手段を手元に残す。

 

 

 

備蓄が生むのは、食いつなぐ時間と、自分で考える余裕です。

 

 

 

準備を終えたら、スマートフォンを置いて、家族や近所の人と話してください。画面越しの警告より、顔の見えるつながりを暮らしの中心へ戻すことです。

 

 

 

自分で備え、自分で考え、自分で選ぶ。その積み重ねが、監視と統制に生活を預けきらない未来をつくります(このサイバー攻撃は、監視社会への移行とどうつながっているのでしょうか。ウエルネスラジオの会員向けニュースレターでは、私たちの暮らしや自由にも関わるこのテーマを、さらに掘り下げてお伝えしています。これからの社会を考える手がかりとして、ぜひ続きをお読みください。)。

 

 

参考文献

 

  1. Japan: Act Establishes New Disaster Management Agency. Library of Congress Global Legal Monitor. 2026 Aug 19.

 

  1. Japan’s Asahi hack that halted beer production claimed by Qilin ransomware group. Reuters.*2025 Oct 7.

 

  1. PayPal. [Acceptable Use Policy.](https://www.paypal.com/us/legalhub/paypal/acceptableuse-full)米国向け利用規定。掲載更新日:2022 Oct 29.

 

4Redacted. [The WEF Predicted a POLY CRISIS… Is it almost here? Ed Down Joins Redacted.](https://www.youtube.com/watch?v=nXPgFWJ6VvU)** エド・ダウド氏出演インタビュー。2026 Oct 13.

 

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