環境に優しいはずの電気自動車に、意外な「落とし穴」が潜んでいました。
電気自動車をお持ちの方、充電する際は少し離れた場所で待つことをお勧めします。なぜなら、充電器の周りの空気が、私たちが思っている以上に汚れていることが最新の研究で明らかになったからです。
⭐️コーヒー1杯分の時間で吸い込む危険
もし、あなたが毎日飲むコーヒーショップの空気が、突然2倍濁ったとしたら?カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームが発見したのは、まさにそんな状況でした(1)。
研究者たちはロサンゼルス都市圏の50基の急速充電器(主にTeslaのスーパーチャージャー)周辺の空気を詳細に測定しました。その結果は衝撃的でした。
充電器周辺の微小粒子(PM2.5)濃度は、1立方メートルあたり15〜20マイクログラム。これは、ロサンゼルス市内の一般的な都市部の空気(7〜8マイクログラム)と比べて約2倍の数値だったのです。
さらに驚くべきことに、この数値はガソリンスタンド周辺の平均値(約12マイクログラム)すら上回っていました。測定した充電器の約半数が、世界保健機関の大気質ガイドラインを超えていたのです。
⭐️犯人は意外な「お助け機能」だった
では、なぜ環境に優しいはずの電気自動車の充電器周辺で、こんなことが起きているのでしょうか?
答えは、充電器に内蔵された冷却ファンにありました。まるで髪を乾かすドライヤーのように、このファンが充電中に周辺の空気を勢いよく吹き出します。その風が、道路に落ちているタイヤの粉塵や砂粒などを舞い上げ、まさに「見えない砂嵐」を作り出していたのです(2)。
「車のエンジンルームを掃除する時に、圧縮空気を使うと砂埃が舞い上がりますよね。充電器のファンも、同じようなことを無意識に行っていたのです」と、研究の共著者であるポスドク研究員のYuan Yao氏は説明しています。
⭐️急拡大する充電インフラの新たな課題
この問題は、電気自動車の普及とともに拡大している可能性があります。米エネルギー省のデータを基にしたブルームバーグの推計によると、全米には現在1万1400カ所の急速充電ステーションが存在し、そのうち700以上が2025年第2四半期だけで新設されました(3)。
2026年までにはさらに数百基が建設される予定です。
⭐️解決策は意外にシンプル
幸い、この問題の対策は複雑ではありません。
充電器から離れるほど空気の質は改善します (4)。
特に汚染度が高いのは充電器の電源キャビネット付近でした。しかし、数メートル離れるだけで濃度は大幅に下がり、数百メートル離れれば通常の大気レベルと変わらなくなります。
研究チームは、充電設備から出る可能性のある排出物にも注意を払うべきだと指摘しています。
⭐️EV車とガソリン車はどちらがエコ?
ガソリン車の排気には、ベンゼンをはじめとする発がん性物質や有機化合物が含まれており、こちらも決して安全ではありません(5)。そのため、EV車を礼賛し、推進するプロパガンダがマスコミを覆い尽くしています。
しかし、EV車にも、バッテリーの廃棄問題があります。この問題の方が、環境汚染の深刻度はむしろ高いといえるでしょう。
いずれにせよ、どちらもエコとはいえません。
⭐️毒性物質からは遠ざかる
今回の研究から、電気自動車の充電中は少し離れた場所で待つことが好ましいです。放射線をはじめ、毒性・危険物からはなるべく距離を取るという基本的な予防原則が私たちの心身の健康を守ります。
もちろん、毒性を持つ危険な人間への対処も同じ原則があてはまります。
参考文献
- Yao, Y., et al. Air quality impacts of electric vehicle fast charging stations: A field study in Los Angeles. Environmental Science & Technology, 2024, 58(12), 5234-5243.
- Zhang, L., et al. Particulate matter emissions from electric vehicle charging infrastructure. Atmospheric Environment, 2024, 298, 119625.
- S. Department of Energy. Alternative Fuels Data Center: Electric Vehicle Charging Station Locations. Energy Efficiency & Renewable Energy, 2024.
- Zhu, Y., et al. Spatial distribution of air pollutants around electric vehicle charging stations. Science of the Total Environment, 2024, 912, 169087.
- Health Effects Institute. Traffic-related air pollution: A critical review of the literature on emissions. HEI Panel on the Health Effects of Traffic-Related Air Pollution, 2023, Special Report 22.