『プーファ推進のハーバード公衆衛生が産出し続けるゴミ論文』
⭐️ハーバードとJAMAがまたやった:繰り返される「バター悪玉論」の新章
今週、世界的に権威あるとされてきた医学誌《JAMA Internal Medicine》が新たな研究を発表しました。タイトルは至ってシンプルですが、その主張は挑発的です。
・バターを摂ると、死亡リスク(相対リスク)が15%増加
・工業的に精製された「植物油(種子油)」に置き換えれば、リスクは16%減少
「ほらやっぱり!バターは身体に悪い、植物油が健康に良いんだ!」と、多くの人が受け取ることでしょう。
でも、本当にそうでしょうか?
この研究は、22万人以上を最長33年間追跡調査したもので、バターの摂取が多いと死亡リスクが15%増加し、植物油に切り替えると16%減少すると結論づけています。大規模データ、ハーバード大学の著名研究者、そして世界的に尊敬される医学誌の発表—これは説得力があるように思えますね?
この研究、実はサイエンスを装った欺瞞(フェイク)に満ちています。事実を曲解させるために、慌てて「砂の上に建てたお城」のようなものです。外見は立派でも、基礎がもろいため、サイエンスを突きつけられると、すぐに崩れてしまう類のものです。
参考文献
・Butter and Plant-Based Oils Intake and Mortality. JAMA Intern Med. 2025 May 1;185(5):549-560.
⭐️科学的証拠とは?—研究方法の落とし穴
研究手法の欠陥:食品頻度質問票という砂上の楼閣
まず理解すべきは、この研究が依拠している「食品頻度質問票(FFQ)」という調査方法の根本的な欠陥です。これは被験者に「過去一年間に食べたものを思い出して答えてください」といった質問をするものです。
今週のウエルネスラジオでもお伝えしましたが、今日、誰かがあなたに「2023年にバターをどれくらい食べましたか?」と質問したとして、正確に答えられるでしょうか?ほとんどの人は、1週間前に食べたものを詳細に思い出すのも困難なくらいです。ほとんどの人は自分が何を食べたかを1年前から遡って覚えていることはあり得ません。
実際、「食品頻度質問票(FFQ)」の信頼性について調査した研究では、回答の一貫性が低く、多くの栄養素や食品群での妥当性の割合が非常に低いことが指摘されています。人々は健康に良いと考える食品を過大報告し、不健康と考える食品を過小報告する傾向があるのです。
さらにバターとマーガリンの誤分類問題があります。「バター」カテゴリーには「バター風味マーガリン」なども含まれていた可能性があり、これらにはバターとは異なる成分が含まれます。この誤分類により、純粋なバターの影響評価が不正確になっています。
今回の研究でバターを最も摂取したグループを調べると、約13-14g/日(大さじ1杯程度)で、料理に使用することを考えても決して多くはありません。さらに、そのバターでさえも、安価なバター風味のマーガリンの可能性があるのです。
またオリーブオイルと植物油脂(プーファ)の区別もなされていません。
これは家の基礎が砂の上に建てられているようなものです。データ収集の基盤自体が不安定では、どんな立派な統計分析も意味をなさないのです。
参考文献
・Is It Time to Abandon the Food Frequency Questionnaire? Cancer Epidemiol Biomarkers Prev. 2005;14(12):2826-2828.
⭐️死亡リスク15%増加は実際にどれほど意味があるのか
研究では「バター摂取で死亡リスクが15%増加」と報告されていますが、この数字を正しく解釈する必要があります。比較のために、喫煙は肺がんリスクを1,000%(10倍)増加させます。バターの15%という効果サイズは、栄養研究における統計的誤差の範囲内とも言えるほど小さいものなのです。
さらに、この研究の死亡リスクとは、実はその数値を大きくみせることができる「相対リスク」という指標を使用しています。
この手法は、2021年に頻繁に使用され、その問題を拙著『ウイルスは存在しない』『ワクチンの真実』等で詳しく説明しました。
本当に2つの集団で死亡リスクの差を測定する場合は、「絶対リスク」を計算して指標としなければならないという鉄則があります。
仮にこの研究で収集されたデータを信用するとしても、1年間の死亡率の絶対リスクを算出すると、なんと約0.1%でした。つまり、バターと植物油脂との間の死亡リスクの差は、1年間でたった0.1%しか違いがないということです。
これは統計の誤差範囲で、バターと植物油脂の摂取の間の死亡リスクに差がないと断定できる数値です。
これを別の角度から見てみましょう。もしバターが本当に致命的なものであれば、バターをたくさん食べる集団と全く食べない集団の間に、寿命の劇的な差が観察されるはずです。しかし、そのような明らかな差は観察されていません。
⭐️科学的エビデンスの階層:全ての研究が平等に作られてはいない
エビデンスのピラミッド:どの研究を信頼すべきか
拙著『奇跡のハチミツ自然治療』で詳述したように、医学研究には「証拠のピラミッド(エビデンスレベル)」という概念があります。ピラミッドの頂点、最も信頼性の高いエビデンスとして「ランダム化比較試験(RCT)」が位置づけられています。
ハーバード公衆衛生が産出するものは、「コホート研究」や「症例対照研究」などの観察研究であり、エビデンスレベルは下位にあります。つまり、それだけで何も証明できない類の研究レベルなのです。
今回のJAMA Internal Medicineの研究は観察研究(コホート研究)であり、単に人々の食生活パターンと結果を観察しただけのものです。
このような観察研究では、「相関関係」は示せても「因果関係」を証明することはできません。バター摂取や植物油摂取と死亡リスクの「関連」(偶然のことが多い)は示せても、「因果関係(食べたから死んだ)」を証明したものではないのです。
バター(マーガリン)を多く食べる分類された人では、喫煙する、運動しない、加工食品を多く食べるなど、他の不健康な生活習慣も持っている可能性があります。
このように、死亡率に関与する食習慣以外のライフスタイルや社会的要因(運動量、収入、教育、喫煙、医療アクセス等)を「交絡因子(confounding factors)」と呼び、統計的調整をいくら行っても、食事と生活習慣を完全に分離することは不可能です(だから観察研究はエビデンスレベルが低く、信頼できない)。
⭐️バターを植物油脂に置き換えても死亡率は低下しない
バター(飽和脂肪酸)を植物油脂・種子油(プーファ)に置き換える効果を検証した最大級のランダム化比較試験(RCT)である「ミネソタ冠動脈実験」の結果をご存知でしょうか?
ランダム化比較試験(RCT)は、今回のようなエビデンスレベルの低い観察研究とは違い、臨床研究ではもっともエビデンスレベルが高いものです。
この研究は1968年から1973年にかけて実施され、9,423人の参加者を対象に、バターなどの飽和脂肪を植物油脂(コーン油)に置き換える食事介入を行いました。
しかし、なぜか長らく完全な研究結果は公表されず、2016年になってやっと英国医学雑誌BMJでデータ再分析の結果が発表されました。驚くべきことに、植物油脂グループは確かに血中コレステロールを平均13.8%減少させましたが、死亡率の改善は見られず、むしろコレステロール低下が大きかった高齢者では死亡リスクが増加していたのです。
さらに、この研究と他のランダム化比較試験(RCT)を含めたメタ分析でも、飽和脂肪を植物油脂に置き換えることで心臓病死亡リスクが減少するという証拠は見つかりませんでした。これは何十年も私たちが信じてきた「飽和脂肪=悪」という栄養指導の基盤を揺るがす発見です。
今回の研究でも、「バターを植物油に置き換えた場合」の解析も行っていますが、実際は対象者が両方同時に摂取していたケースの平均値であり、“置き換え時の純粋な因果”ではありません。
さらに、今回の研究論文はバターの摂取が「心血管死(CVD)」リスクを有意に高めたとは結論できず(残念でしたね😀)、がん死亡および総死亡とのみ関連(因果関係ではない)があったとしています。
参考文献
・Re-evaluation of the traditional diet-heart hypothesis: analysis of recovered data from Minnesota Coronary Experiment (1968-73). BMJ. 2016 Apr 12:353:i1246.
・The effect of replacing saturated fat with mostly n-6 polyunsaturated fat on coronary heart disease: a meta-analysis of randomised controlled trials. Nutrition Journal. 2017;16(1):30.
・Reduction in saturated fat intake for cardiovascular disease. Cochrane Database of Systematic Reviews. 2020;5:CD011737.
⭐️JAMAの矛盾:なぜこのようなジャンク研究が掲載されるのか
JAMAは本来、最も厳格な査読プロセスと高い科学的基準を誇るとされる医学誌の一つです。では、なぜこのような方法論的問題を抱えた研究が掲載されるのでしょうか?
考えられる理由の一つは、これが「従来の栄養信条を確認する」研究だからでしょう。「飽和脂肪=悪、植物油=善」というのは、過去50年間にわたってハーバード公衆衛生やアメリカ循環器学会(AHA)によって繰り返されてきたメッセージです(誰に言わされているのでしょうか?🤫)。
この信条に合致する研究は、たとえ方法論に欠陥があっても、公衆衛生政策との一貫性を保つために受け入れられやすい傾向があります。
もし同じ研究手法が、例えば「ある薬が相対死亡リスクを15%減少させる」という結論を出すために使われたとしたら、JAMAはそのような弱い差のないデータと小さな効果サイズでは掲載を許可しなかったでしょう。しかし栄養研究については、異なる基準が適用されているようです。
この研究者たちの利害相反の記述を見ましたが、数人が一部の企業や政府からの資金の提供を受けていることを宣言しているだけで、論文の主著者や責任者の利害関係の告白は掲載されていません。やはり・・・・という感じです。
⭐️歴史の知恵 vs JAMAの物語
人類は何千年もの間、バターのような動物性脂肪を摂取してきました。あなたの祖父母、曾祖父母は、おそらくバターや動物性脂肪で料理をしていたでしょう。彼らが食べていた食品は、長い時間をかけて人体との相性が確かめられてきたものです。
一方、大量生産される精製植物油—特に大豆油、コーン油、キャノーラ油など—は、20世紀に入ってから普及した比較的新しい“超”加工食品です。これらの油は、私たちの先祖が知らなかった化学的・工業的プロセスを経て製造されています。
そもそも本物のバターや生クリームなどの乳製品は、計画的に作り出された激しいインフレ経済の中で、すでに私たち庶民の手に届きにくくなった高価なものとなっています。
あなたの曾祖父母がキャノーラ油を食品として認識しないなら、JAMAの論文にそれを食べるように言われるべきではありません。
サイエンスとは、企業や医学界の「物語」を守ることではありません。真実を探す勇気を持つことです。