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『オメガ3が心身の健康に悪影響:知られざる脂質酸化の真実』

 

私たちが健康に良いと信じているオメガ3脂肪酸(EPAやDHA)が、実は体内で「脂質過酸化」を引き起こす可能性があることをご存知ですか?

 

オメガ3は水と接しても腐敗(脂質過酸化)しますが、私たちの消化液や血液という液体に入っても同じことが起こります。

 

脂質過酸化とは、体内で脂肪が酸化される反応で、細胞や血管にダメージを与え、老化や病気の原因となる毒性物質の過酸化脂質(アルデヒド)を発生させます。

 


 



「体内ではこれに対抗する抗酸化能力があるから、オメガ3が体内で腐敗しても大丈夫」というような日本語の論文(なぜ英語にして発表されていないのでしょうか?)がまたもやSNSで拡散している始末・・・・・・

 

現代医学の研究の大半はオメガ3擁護なので、英文でも多数のオメガ3神話論文で埋め尽くされています(なぜ“彼ら”がオメガ3を、手を変え品を変えて擁護するのかは、ニュースレターで詳述しています)。

 

以下にEPAやDHAなどのオメガ3脂肪酸が体内で腐敗(脂質過酸化反応)して、体内で到底処理できないというエビデンスをご紹介しましょう。

 

私たちがオメガ3サプリメントを摂取すると体内で過酸化脂質が発生する!

健康な男性を対象にn-3脂肪酸サプリメントを6週間投与した結果、血漿中のEPAとDHA濃度の増加に伴い、脂質過酸化のマーカーである血漿MDA(猛毒の過酸化脂質)と脂質ペルオキシドの有意な増加(それぞれP < 0.001およびP < 0.05)が観察されました。ちなみに、この研究では、ビタミンEの同時摂取でさえもオメガ3の脂質過酸化の増加を防ぐことができませんでした。

このようにDHAなどのオメガ3は体内で酸化されやすいため抗酸化物質との併用が強く推奨されていますが、それでも過酸化脂質発生を完全に防げません。

 

さらに、女性を対象とした長期フィッシュオイル補給の研究では、補給開始後2ヶ月まで血漿中の脂質ペルオキシドの有意な増加が全被験者で観察されました。特に高齢女性では若年女性よりも高い過酸化脂質レベルを示しました。

オメガ3のサプリメント摂取量を増やすほど、体内の抗酸化脳では消去しきれない過酸化脂質の発生が増加します。

 

参考文献
・Lipid peroxidation during n-3 fatty acid and vitamin E supplementation in humans. Lipids. 1997 May;32(5):535-41.

・Effect of Long-Term Fish Oil Supplementation on Vitamin E Status and Lipid Peroxidation in Women. J Nutr. 1991 Apr;121(4):484-91.

・Subgram daily supplementation with docosahexaenoic acid protects low-density lipoproteins from oxidation in healthy men. Atherosclerosis. (2010) 208:467–72.

・Omega-3 fatty acids and dementia. Prostaglandins Leukot Essent Fatty Acids. 2009 Jun 12;81(0):213–221.

これらのオメガ3摂取によって体内で発生する過酸化脂質や酸化生成物は、LDL(低密度リポタンパク質)や細胞膜に取り込まれ、さらなる酸化反応を引き起こします。このプロセスは、動脈硬化、アルツハイマーやその他の炎症性疾患の発症を招きます(Oxidation of Marine Omega-3 Supplements and Human Health. Biomed Res Int. 2013 Apr 30;2013:464921. )。

 

 

ヒトだけでなく、ラットを用いた研究でも、DHAリッチフィッシュオイルを摂取したグループで、血漿中の毒性の強い過酸化脂質(MDA)濃度が対照群と比較して40%増加(P < 0.001)することが示されています。

参考文献
・Effect of fish oils containing different amounts of EPA, DHA, and antioxidants on plasma and brain fatty acids and brain nitric oxide synthase activity in rats. Ups J Med Sci. 2009 Dec 8;114(4):206–213.

 

消化の過程ですでに腐敗(脂質過酸化)している

タラの肝油をはじめとする海洋性脂肪(マリンオイル)は、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのオメガ3系多価不飽和脂肪酸(プーファ)を豊富に含んでいます。

 

タラ肝油の消化過程における脂質酸化と反応性アルデヒド(MDA、HHE、HNE)の生成を評価するため、ヒト由来の消化液を用いたin vitro消化モデル(試験管モデル)を用いた研究結果が報告されています。

十二指腸の消化過程において、かなり高い発癌性の過酸化脂質 (MDA, HHE, HNE)が検出されました。これは、オメガ脂肪酸が液体(胃液や十二指腸液)と混ざると容易に腐敗(酸化)することを示すものです。

つまり、私たちがEPAやDHAを豊富に含むタラの肝油やフッシュオイルを摂取すると、血液に入る前の段階の消化過程ですでに腐敗(脂質過酸化)が開始されていることを示しています。

参考文献
・Formation of reactive aldehydes (MDA, HHE, HNE) during the digestion of cod liver oil: comparison of human and porcine in vitro digestion models. Food Funct. 2016 Mar;7(3):1401-12.

 

オメガ3の酸化から発生するMDA、アクロレインなどの過酸化脂質は、老化だけでなくあらゆる病態に関与しています。

 

まだオメガ3神話にこだわっているのであれば、オメガ3摂取で体内に発生する過酸化脂質のMDAやアクロレインと病態の関係を納得がいくまでご自分で調べてみましょう。

オメガ3神話から脱却できれば、糖悪玉説から脱却するのも容易くなります。

 

次回は、実際のオメガ3が体内に摂取されたのち、その過酸化脂質によってあらゆる病態が発生していることを具体的にお伝えしていきます。

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