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『なぜ自然分娩が少ないのか?〜俯瞰シリーズ』

 

1960年代には、産科は最も低賃金の医療専門職の一つでしたが、1975年までに、帝王切開と子宮摘出術の急増により、産婦人科は最も高賃金の医療専門職となりました。

 

1960年代には帝王切開率が10%を超える人は社会的に非難されていました。


現在の現代医学の代表としてアメリカとオーストラリアの帝王切開率を見てみましょう。

 

アメリカの2021年の暫定的な全国帝王切開率は、全出産の32.1%であり、2020年の31.8%からわずかに増加しています(出典:『Births in the United States, 2022
』 CDC National Center for Health Statistics, 2022)。

 

 

オーストラリアの2021年のオーストラリアにおける帝王切開率は、全出産の33%でした。この率は2004年の四人に一人から、三人に一人に増加しています(increased from 1 in 4 women (25%) in 2004, to 1 in 3 (33%) in 2021)(出典:『National Core Maternity Indicators』Australian Institute of Health and Welfare, 2022)。

 

 

 

実は、世界のすべての地域で帝王切開率が増加しています。世界全体では、21.1%の女性が帝王切開で出産しています。

 

 

 

 

過去30年間での増加幅は、東アジア、西アジア、北アフリカで最も大きく、それぞれ44.9、34.7、31.5パーセンテージポイントの増加です(Trends and projections of caesarean section rates: global and regional estimates. BMJ Glob Health. 2021 Jun;6(6):e005671. doi: 10.1136/bmjgh-2021-005671.)。

 

世界で最も帝王切開率が高い上位5カ国は、

1. ドミニカ共和国(58.1%)
2. ブラジル(55.7%)
3. キプロス(55.3%)
4. エジプト(51.8%)
5. トルコ(50.8%)

でした。これらの国々はそれぞれアメリカ、アジア、アフリカで最も高い帝王切開率を示しています。

 

1990年から2018年にかけての増加幅は、トルコ、アンドラ、エジプトは50パーセンテージポイント以上の帝王切開率の増加を示し、中国、ドミニカ共和国、ルーマニア、モーリシャス、ジョージア、パラグアイは40パーセンテージポイント以上の増加を示しています。

 

 

トルコ、エジプト、中国のように、何世紀にもわたる自然分娩の経験と専門知識を持つ国々が、アングロアメリカン・カルテル・メディスン(カバールメディカルマフィア)に屈していることを考えると、恐ろしいことです。

 

 

帝王切開で出産した場合、自然分娩に比べて女性が死亡するリスクは高くなります(Risk of severe maternal morbidity associated with cesarean delivery and the role of maternal age: a population-based propensity score analysis. CMAJ. 2019 Apr 1; 191(13): E352–E360. doi: 10.1503/cmaj.181067)(Mode of delivery is an independent risk factor for maternal mortality: a case-control study. J Matern Fetal Neonatal Med. 2022 May;35(10):1962-1968.)(Postpartum maternal mortality and cesarean delivery. Obstet Gynecol. 2006 Sep;108(3 Pt 1):541-8.)。

 

帝王切開の後の出産では、子宮破裂や妊娠異常のリスクが高くなります。

 

帝王切開で生まれた子供にも悪影響が及びます。

帝王切開は、乳児の死亡、子供のアレルギー、若年性リウマチや潰瘍性大腸炎などの自己免疫疾患や肥満のリスク増加と相関していることが報告されています(Higher cesarean delivery rates are associated with higher infant mortality rates in industrialized countries. Birth 2015 Mar;42(1):62-9. doi: 10.1111/birt.12153.)(Cesarean section and disease associated with immune function. J Allergy Clin Immunol. 2016 Feb;137(2):587-90. doi: 10.1016/j.jaci.2015.07.040.)(Cesarean section and the risk of allergic rhinitis in children: a systematic review and meta-analysis. Sci Rep. 2023 Oct 26;13(1):18361. doi: 10.1038/s41598-023-44932-8.)(Cesarean section may increase the risk of both overweight and obesity in preschool children. BMC Pregnancy Childbirth. 2016 Nov 3;16(1):338. doi: 10.1186/s12884-016-1131-5.)。

 

それでは、なぜ現代において帝王切開が増加しているのでしょうか?

 

まず、帝王切開の方が自然分娩よりも高い報酬を受け取るという経済的なメリットがあります。実際に営利目的の病院では、リスク要因が少ないにもかかわらず、非営利の病院に比べて女性が帝王切開を受ける確率が高いことが指摘されています。

 

次に、経済的理由以外の医師や病院側の都合があります。夜間や夜中の出産は、スタッフの疲弊につながるので、なるべく日中の予定時間に出産を行いたいという動機があります(Does the Day of the Week Predict a Cesarean Section? A Statewide Analysis. J Surg Res
. 2020 Jan:245:288-294. doi: 10.1016/j.jss.2019.07.027.)(Association Between Time of Day and the Decision for an Intrapartum Cesarean Delivery. Obstet Gynecol. 2020 Mar; 135(3): 535–541.)。

 

もう一つは、拙著『患者見殺し医療改革のペテン』でも指摘した「防衛医療」というものです。これは、訴訟時代に医師が訴訟を受けないように、患者のことはそっちのけで不必要な検査や処置を行って自衛に走るものです。

 

自然分娩で問題が起こって訴訟を受けるリスクを避けるため、管理しやすい帝王切開を選ぶというものです。

 

そもそも帝王切開は、大きな外科手術です。

 

それが母胎に与える長期的影響は無視できるものではありません。

母体および将来の子供のことを考えると自ずと答えがでますね(^_−)−☆。

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