加村少年が家出をして、足尾銅山の洞窟を寝床と決めて2週間経過した頃に、高熱を出して倒れた話をしました。
愛犬のシロの必死の介護がありました。
そして、加村少年が小さい時に見ていた解熱方法を試しています。
それは、ミミズのエキスを飲むことでした。
この時は、熱湯にミミズを入れたものを飲んだだけですが、それでも高熱がひいたといいます(酷い味だったようです)。
ミミズが様々な病態に用いられる伝統は、すでに数百年の歴史があります(Comparative proteomic analysis of the sun- and freeze-dried earthworm Eisenia fetida with differentially thrombolytic activities. J Proteome. 2013; 83: 1-14.)。
16世紀の中国で編纂された薬学書『本草綱目』(ほんぞうこうもく、Compendium of Materia Medica.)にも、ミミズの効能が記されています(Hypothetical mode of action of earthworm extract with hepatoprotective and antioxidant properties. J Zhejiang Univ Sci B. 2008; 9(2): 141-147.)。
古代の人々はその抽出物を解熱剤としてだけでなく、鎮痙剤、利尿剤、降圧剤、抗アレルギー剤、喘息治療、解毒剤、殺精剤(避妊)として使用していました(Purification of a protein from coelomic fluid of the earthworm Eisenia foetida and evaluation of its hemolytic, antibacterial, and antitumor activities. Pharm Biol. 2011; 49(3): 269-275.)。
そのほか、中国、インドやビルマでは、歯周病、産後の虚弱、関節炎、炎症、創傷治癒、胃潰瘍、肝保護、神経疾患、癌に対して使用されてきました(Food for thought and medicine. J. Tradit. Complement. Med. 2012;2:242–248.)。
拙著『新・免疫革命』で詳述したとおり、ミミズは高等動物のようにリンパ球系を持ちませんが、生命体の基本的な白血球の貪食作用および防御に役立つ生理活性物質を備えています。
現在、ミミズに含まれる様々な生理活性物質が精力的に調べられています(Decoding the mechanism of earthworm extract against wounds: an integrated metabolomics and network pharmacology study. Mol Divers. 2024 Apr;28(2):631-647.)。
サバイバルには、こういった伝統医学の知識も役立つことが分かりますね(^_−)−☆。