摂取カロリーと消費カロリーの差、つまりカロリー過多が肥満の原因であるというのは自明のように聞こえます。
砂糖が肥満を引き起こすという、誤った「信念(確固たるファクト、エビデンスがない)」を持っていない人でも、肥満はカロリー過多が原因と考えています(肥満の原因は脂肪、とくにプーファにあります(^_−)−☆)。
このカロリー過多が本当に肥満に結びついているのでしょうか?
最新の研究で、ようやく糖のエネルギー代謝が肥満の鍵を握ることが証明されています(Total daily energy expenditure has declined over the past three decades due to declining basal expenditure, not reduced activity expenditure. Nat Metab 5, 579–588 (2023).)。
この研究では、身体活動レベルは、肥満がこれほど問題にならなかった数十年前よりも男女ともに上がっていることが示されています。
つまり、肥満が蔓延(まんえん)している現代社会において、消費カロリーは、肥満が疫病になる以前よりも高くなっているのです。
さらに、摂取カロリーが以前よりも高くなっているわけでもありません。
ということは、差し引きしても、以前よりもカロリーオーバーになっていないという意外なファクト(事実)が浮かび上がってきます。
(摂取カロリー)ー(運動消費カロリー)で、以前よりもカロリーオーバーになっていないにも関わらず、なぜ現代で肥満が蔓延しているのでしょうか?
実は、運動による消費カロリーは、全体の25~30%程度しかありません。
消費カロリーの大半を占めているのは、実際は「基礎代謝(basal metabolic rate (BMR))」です。
基礎代謝(BMR)とは、身体活動をしていない安静時に消費されるカロリーとイメージするとわかりやすいでしょう。
車にたとえると、アイドリングのようなものです。
この基礎代謝(BMR)は、ずばり糖のエネルギー代謝(=甲状腺機能)のことです。
この研究でも、ヨーロッパ、米国の調査で、男女ともに、この100年間で基礎代謝(BMR)が低下している事実が指摘されています。
現代人は、安静時(何も身体活動をしていない時)のアイドリングが低くなっているのです。
安静時の基礎代謝の低下によって、消費カロリーが低下し肥満になっているということです。
この状態で、いくら運動をして摂取カロリーを制限(カロリー制限)しても、なかなか痩せないのは当然です。
むしろ、良質な糖質やタンパク質を減らすことで、筋肉だけが落ちるという最悪のケースになります。
基礎代謝を上げずに、<運動+カロリー制限(糖質制限)>をすると、筋肉が分解されて、病的な痩せを引き起こすだけです。
そして、長期的にはリバウンドが来ることは過去記事やニュースレター等でもお伝えした通りです。
したがって、肥満を解消するためには、基礎代謝、つまり糖のエネルギー代謝を高めることが健康的に痩せる唯一の方法になります。
みなさんが痩せたいと思うなら、ジムに定期的に通ったり、カロリーあるいは糖質制限したりするよりも、基礎代謝を高めることに専念すべきです(^_−)−☆。