日本では産湯(沐浴:もくよく)の習慣が長らく行われてきました。
私も沐浴を受けています。
産湯には、出産に伴う汚れを洗い流すだけでなく、沐浴と同じく新生児を清め、健やかに育つことを願う儀礼的な意味があるとされています。
しかし、生まれたばかりの新生児をプラスチックのベビーバスで、人工加工されたベベイーソープやシャンプーで洗うことは、心身に良いことなのでしょうか?
最新の研究では、その答えは「ノー」となっています(Comparison of the Effects of Bathing and the Dry Technique on the Skin Condition of Early Neonates: A Prospective Observational Study. Ann Dermatol. 2023 Aug;35(4):256-265)。
新生児の皮膚は成人の1/3の厚さしかありません。
そして、生後から数日間は、表皮の皮脂やケラチンがないため、皮膚のバリアがない状態になっています。
海外では、胎脂(vernix caseosa)を残して血液など汚れた場所だけ拭き取るドライテクニック(dry technique)が励行されています(American Academy of Pediatrics Committee on Fetus and Newborn. Skin care of newborns. Pediatrics. 1974;54:682–683)。
しかし、日本では、まだ過半数が生後1日目から石鹸をつかった沐浴をさせています([Current trends and issues in early neonatal hygiene and skin care in Japan] Jpn J Matern Health. 2017;58:91–99. Japanese.)。
今回の研究では、出生直後に入浴させる沐浴グループとドライテクニック・グループで生後1〜5日の皮膚バリア機能、皮膚所見および炎症性マーカーを比較しました。
その結果、皮膚バリア機能、皮膚所見、炎症性マーカーのいずれもドライテクニック・グループが良好でした。
胎脂を温存することが、出生直後の皮膚バリア機能を損なわず、皮膚(頬と胸部)の炎症反応を抑制したということです。
母体の影響で糖のエネルギー代謝が低下している新生児に沐浴を行うとどうなるでしょうか?
皮膚のバリア破壊によって、外界の大気汚染物質、化学物質(ピーファス、マイクロプラスチックなど)、バクテリアや真菌などが血液中に入り込むことになります。
母親から引き継いだプーファやエストロゲンに加えて、これらの毒性をもたらす物質を外に排出するために、「乳児湿疹」が出るのです。
この排出過程の乳児湿疹をステロイドで抑えることは、毒物を体内に蓄積したままにする殺人行為になります。
日本人は成人になっても、皮膚を石鹸やシャンプーでごしごし洗うひとが多いです。
いくらバリア機能が新生児より整っているとはいえ、毎日界面活性剤で皮膚を痛めると、バリア機能が失われていきます。
皮膚という最前線のバリア機能を守るためには、、「日本人の清潔好き(これも洗脳に過ぎない)」はアダになるのです(^_−)−☆。