いまや加工食品となった牛乳。
本来の生乳とは違い、さまざまな加工やプーファなどの不純物を混入している超加工品まで登場しています。
その中で、ダイエット効果が謳われているのが、「低脂肪牛乳(low fat milk)」。
牛乳とは、原材料が生乳100%で成分を調整していない、乳脂肪分が3.0%以上、無脂乳固形分が8.0%以上のものをいいます。
低脂肪牛乳とは、生乳からほとんどの乳脂肪分を除き、乳脂肪分が0.5%以上1.5%以下、無脂乳固形分が8.0%以上のものをいいます。
低脂肪牛乳は、脂肪分が少なくなった分、カロリーが低くなるため、肥満対策にも推奨されています。
現代医学や栄養学では、コレステロールを動脈硬化の原因と勘違いしていることから、低脂肪牛乳はコレステロールも少なくなって、心臓血管疾患にも良いとしています。
果たして、低脂肪牛乳は本当に肥満や心臓血管疾患に良い効果をもたらすのでしょうか?
脂肪の多い/少ないに関わらず、牛乳および乳製品は、肥満や心臓血管疾患などのメタボリック・シンドロームのリスクを低下させることが臨床試験(前向き)で明らかになっています(Systematic Review of the Association between Dairy Product Consumption and Risk of Cardiovascular-Related Clinical Outcomes. Adv Nutr. 2016 Nov; 7(6): 1026–1040)(Comprehensive review of the impact of dairy foods and dairy fat on cardiometabolic risk. Adv Nutr. (2016) 7:1041–51)。
2021年のランダム化比較臨床試験では、脂肪の多い/少ないに関わらず、1日3杯以上牛乳の摂取(12週間)によって、総コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロールおよび中性脂肪の値に影響を与えないことが示されています(Impact of low-fat and full-fat dairy foods on fasting lipid profile and blood pressure: exploratory endpoints of a randomized controlled trial. Am J Clin Nutr. (2021) 114:882–92)。
2022年の動物実験では、1日3杯以上の牛乳(full-fat)を飲むと、低脂肪牛乳よりも、血糖値を低下させる効果がむしろ高い結果が出ています(Effect of High-Fat and Low-Fat Dairy Products on Cardiometabolic Risk Factors and Immune Function in a Low Birthweight Swine Model of Diet-Induced Insulin Resistance. Front Nutr. 2022; 9: 923120)。
さらに、過去の臨床実験(前向き)では、牛乳(full-fat)は女性の不妊(無排卵性不妊)のリスクを低下させるのに対して、低脂肪牛乳は不妊リスクを高める結果が出ています(A prospective study of dairy foods intake and anovulatory infertility. Hum Reprod. 2007 May;22(5):1340-7)。
低脂肪牛乳といっても、200mlで減らせるエネルギーは30~40kcalです。これは1日の食事から摂取する総エネルギーからするとごくわずかです。
肥満などに対してダイエット効果はないのは当然です。
また、低脂肪牛乳は、同時にコレステロールや飽和脂肪酸などの必須栄養素も少なくなったものです。
以上を勘案すると、低脂肪牛乳に何らかの効果を期待するのは意味がないことが分かります。加工するだけ、労力が無駄ということです。
私たちの糖のエネルギー代謝を回すのは、低脂肪牛乳よりも、質のよい牛乳(GMOコーンを食べさせない、農薬フリー)です(^_−)−☆。