個人差があるものの、加齢とともに老人斑(肝斑)とよばれるシミがたくさん出現してきます。
シミの正体は、プーファの過酸化脂質と鉄で変性した物質である「リポファッシン(lipofuscin)」であることは、一連の拙著やオンライン講座などでお伝えしてきました。
プーファと鉄が体内に蓄積している人ほど、シミができやすいのです。
そしてリポファッシン自体が、周囲の酸素を奪い、炎症→老化、細胞死の火種になります(Lipofuscin causes atypical necroptosis through lysosomal membrane permeabilizationProc Natl Acad Sci U S A. 2021 Nov 23; 118(47): e2100122118)。
ちなみに、このシミは皮膚だけでなく、あらゆる臓器に発生します。
それでは・・・・・・・
同じプーファ過剰の食事を摂取しているのに、なぜ子供にはシミが少ないのでしょうか?
その理由は、2つあります。
まず一つは、子供は基礎代謝(糖のエネルギー代謝)が成人より高いため、肝臓でのプーファのデトックスが成人より速いことが挙げられます。
そして糖のエネルギー代謝が高いほど、プーファの脂質過酸化反応は低下します(ランドル効果の結果です(^_−)−☆)。
2つ目は、子供の方が鉄の体内蓄積量が低いことです。
体内の鉄の蓄積量が増加するほど、シミなどの老化現象だけでなく、あらゆる病態による死亡率が高まります(Genome-wide meta-analysis of iron status biomarkers and the effect of iron on all-cause mortality in HUNT. Commun Biol. 2022 Jun 16;5(1):591)(Serum Biomarkers of Iron Stores Are Associated with Increased Risk of All-Cause Mortality and Cardiovascular Events in Nondialysis CKD Patients, with or without Anemia. J Am Soc Nephrol. 2021 Aug;32(8):2020-2030)(Iron: an underrated factor in aging. Aging (Albany NY). 2021 Oct 15; 13(19): 23407–23415)。
プーファと鉄はいずれも加齢とともに、体内に蓄積していくため、子供の方がシミになる材料が少ないのです。
実際に、鉄のキレート剤の使用でシミの形成を軽減することが報告されています(Implication of Dietary Iron-Chelating Bioactive Compounds in Molecular Mechanisms of Oxidative Stress-Induced Cell Ageing. Antioxidants (Basel). 2021 Mar; 10(3): 491)(Lipofuscin: formation, effects and role of macroautophagy. Redox Biol. 2013; 1(1): 140–144)(Effect of ferric iron and desferrioxamine on lipofuscin accumulation in cultured rat heart myocytes 。Mech Ageing Dev. 1988 Dec;46(1-3):145-57)。
鉄をキレートするラクトフェリンを含むミルクは、シミなどの老化にも効果があるということです(^_−)−☆