体調が落ちたり、過剰の毒性物質に晒されたりすると鼻水、くしゃみや涙液が出ます。
「何かのアレルギー反応かな?」
と思いますが、体調が落ちている(つまり糖のエネルギー代謝が低下している)サインでもあります。
これは、通常の肝臓や腎臓での毒物排出がうまくいかず、分泌液として毒物を排出しているのです。
もちろん、この中には、各種の毒性物質を入れたエクソソームが豊富に含まれています。
さて、鼻水、唾液、涙液として分泌する際に、もう一つ非常に重要な働きをおこなっています。
それは、あらゆる病態を引き起こすフリーの鉄を同時に排出することです。
必要以上の鉄は、プーファの脂質過酸化反応で発ガン物質のアルデヒドを発生させるばかりでなく、血栓形成、免疫抑制、そして細胞内を還元状態(還元ストレス)にして細胞死(フェロトーシス)させます。
したがって、鉄の過剰は、感染症だけでなくガンや心筋症などのあらゆる慢性病の原因にもなっています(Current and future treatment strategies for iron overload cardiomyopathy. Eur. J. Pharmacol. 2015 doi: 10.1016/j.ejphar.2015.08.017)(Combined Iron Chelator and antioxidant exerted greater efficacy on cardioprotection than monotherapy in iron-overloaded rats. PLoS One. 2016 doi: 10.1371/journal.pone.0159414)(Mitochondrial dysfunction may explain the cardiomyopathy of chronic iron overload. Free Radic. Biol. Med. 2010 doi: 10.1016/j.freeradbiomed.2010.04.033)。
そのフリーの鉄を回収するラクトフェリンは、母乳や牛乳(哺乳類の母乳一般)に含まれていますが、本来は私たちの粘膜上皮細胞で産生されています。
唾液、涙液、鼻水などの分泌液に含まれているのです。
風邪で鼻水・唾液・痰が出たり、結膜炎で涙が出たりするのは、炎症の原因となるフリーの鉄をラクトフェリンが回収して排出する一つの機構です。
ちなみに、ラクトフェリンは鉄過剰による病態以外にも、あらゆる慢性病に効果があることが報告されています。
その一つの理由として、ラクトフェリンは慢性病に深く関与するエンドトキシン(内毒素)も吸着して不活性化する作用をもっていることが挙げられます(lactoferrin, a further arrow in the quiver of prevention. J. Pediatr. Neonatal Individ. Med. 2020 doi: 10.7363/090142)(Viral hepatitis and Iron dysregulation: molecular pathways and the role of lactoferrin. Molecules. 2020 doi: 10.3390/molecules25081997)(Efficiency of novel nanocombinations of bovine milk proteins (lactoperoxidase and lactoferrin) for combating different human cancer cell lines. Sci. Rep. 2017 doi: 10.1038/s41598-017-16962-6)(Camel milk lactoferrin reduces the proliferation of colorectal cancer cells and exerts antioxidant and DNA damage inhibitory activities. Food Chem. 2013 doi: 10.1016/j.foodchem.2013.03.039.)。
鉄などの重金属は、私たち人類が最も扱いを苦手とするものであり、過剰摂取に対する適切な排出機構を備えていません。
それは、人間が土壌を深く掘って重金属を取り出すという、生命体にとっては前代未聞の環境に暴露することになったからです(^_−)−☆。