『高齢者にはタンパク質は必要ない?(その2)〜エネルギー栄養学シリーズ』

 

タンパク質を十分量含む食事以外にも筋肉量をキープする秘訣はあるのでしょうか?

 

 

筋肉アップといえば筋トレ(resistance training (RT))です。

 

 

 

筋トレでは、限界に近い重量で短時間かつ短時間の間隔でリピートする「高強度インターバルトレーニング(high-intensity interval training, HIIT)」法の有効性がここ数十年で証明されています(Can High-Intensity Interval Training Promote Skeletal Muscle Anabolism? Sports Med. 2021 Mar;51(3):405-421)(High Intensity Interval Training (HIIT) as a Potential Countermeasure for Phenotypic Characteristics of Sarcopenia: A Scoping Review.. Front Physiol. 2021 Aug 24;12:715044)。

 

この方法は高齢者のサルコペニアにも有効されていますが、筋トレの強度はむしろ少し落とした方法と効果は変わりがないか、その方が良いという結果も出ています(The Effects of High- Versus Low-Intensity Power Training on Muscle Power Outcomes in Healthy, Older Adults: A Systematic Review。J Aging Phys Act. 2019 Jun 1;27(3):422-439)(Skeletal muscle protein metabolism in the elderly: Interventions to counteract the ‘anabolic resistance’ of ageing. Nutr Metab (Lond) 2011 Oct 5;8:68)。

 

これは、あくまでも健康とされる高齢者の場合ですから、すでに何らかの慢性病の状態にある高齢者には、ストレスのかかる筋トレそのものをお勧めできません。

 

 

拙著『慢性病の原因はメタボリック・スイッチにあった』でエビデンスをご紹介しましたが、ヨガなどで体幹および柔軟性を重視したトレーニングの方が糖のエネルギー代謝を高めることができます。

 

糖のエネルギー代謝を高めると、筋肉合成作用が最も強いジヒドロテストステロン(DHT)の合成も高まります。

 

 

ジヒドロテストステロン(DHT)の元になるテストステロンの高齢者の投与によっても、筋肉内のタンパク質合成および筋力が高まります(Testosterone administration to elderly men increases skeletal muscle strength and protein synthesis。Am J Physiol. 1995 Nov;269(5 Pt 1):E820-6)。

 

 

しかし、テストステロンはストレス化でエストロゲンに転換されるため、お勧めできません(DHTはエストロゲンに変換されない)。

 

 

ちなみに、赤ワインのエストロゲンであるレスベラトロールと同じ化学構造を持つエストロゲン様物質(stilbestrol:多大な副作用でマーケットから撤収された医薬品(^_−)−☆)を投与した他の臨床実験では、タンパク質合成は高まりませんでした(The effects of stilbestrol on the retention of nitrogen, calcium, phosphorus, and potassium in aged males with and without osteoporosis。J Gerontol 1954 Jul;9(3):262-75)。

糖のエネルギー代謝を低下させるエストロゲンを投与では、ストレスによって筋肉が水膨れしますが、筋肉合成は高まらないのです。

 

したがって、エストロゲンで筋肉が大きくなったように見えても、筋力は低下していきます。

 

 

トップクラスのアスリートは、硬い筋肉で体がガチガチになっているのではなく、柔らかい筋肉で柔軟性が優れています。そのため、スポーツに付随する怪我がすくないのです。

 

機能的な柔らかい筋肉をキープするためには、十分なタンパク質量の食事と過度のストレスのかからないヨガ、体幹トレーニングなどのエクセサイズが最適です(^_−)−☆。

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