1977年には、民主党のマクガバーン議員(George McGovern)によって、この創作された「飽和脂肪酸悪玉説」が国家政策として喧伝されることになります。
これが日本の一般健康ポップカルチャーが好きな「マクガバン報告」と呼ばれるものです。
彼の報告は、何らエビデンスにバックアップされていない酷い内容でした。
飽和脂肪酸は、心臓血管疾患だけでなく、肥満やガンの原因として汚名を着せられた上で、飽和脂肪酸の摂取を減らす勧告を行ったのです。
もちろんこの勧告には、ロックフェラー財団が深く関与しています(http://www.zerodisease.com/archive/Dietary_Goals_For_The_United_States.pdf)。
マクガバンの報告書は、「飽和脂肪酸を減らして穀物を食べろ」というまさにロックフェラー財団の穀物戦略そのものでした。
これに、米国学術研究会議(National Research Council)、公衆衛生局長官、軍医総監(The Surgeon General)、米国がん協会(American Cancer Society)が相乗りして、「飽和脂肪酸を減らすと、心臓血管疾患やガンが減る」と喧伝しました(Dietary goals for the United States do you agree?. Arizona Med. (1979), 36: 587–9)(American Cancer Society. An american cancer society special report. CA Cancer J Clin. (1984) 34:121–6)(The Surgeon General’s Report on Nutrition and Health. Washington, DC: Government Printing Office; Department of Human Services; (1989))(National Research Council . Diet, Nutrition, and Cancer. Washington, DC: The National Academies Press; (1982))。
しかし、1960年に施行された大規模な臨床試験で、すでに「飽和脂肪酸と心臓血管疾患の相関関係はない」という結果が出ていたのです。しかし、この貴重なデータは、公表されることはありませんでした(The big fat surprise: Why butter, beat and cheese belong in a healthy diet, by nina teicholz. Am. J. Clin. Nutr. (2015) 102:232)(Diet and cardiovascular disease in the Framingham StudyI. Measurement of dietary intake. Am J Clin Nutr. (1962) 11:200–25. 10.1093/ajcn/11.3.200)。
その後の複数の研究でも、
・コレステロール値が低いとガンの発生率が高い
・飽和脂肪酸をプーファに置き換えると、あらゆる病態の死亡率、心臓血管疾患、ガンのリスクが高まる
ことが確認されています(Report of the conference on low blood cholesterol: mortality associations. Circulation. (1992) 86:1046–60. 10.1161/01.CIR.86.3.1046)(Cancer incidence by levels of cholesterol. J Am Med Assoc. (1981) 245:247–52)(The questionable role of saturated and polyunsaturated fatty acids in cardiovascular disease. J Clin Epidemiol. (1998) 51:443–60)(Dietary fat and risk of breast cancer. World J Surg Oncol. (2005) 3:22–8)(Dietary fats in relation to total and cause-specific mortality in a prospective cohort of 521 120 individuals with 16 years of follow-up. Circ Res. (2019) 124:757–68)(Is saturated fat bad?. In: De Meester F, Zibadi S, Watson RR. editors. Modern Dietary Fat Intakes in Disease Promotion. Nutrition and Health, Part 2. New York, NY: Humana Press; (2010). pp. 109–119)。
それにも関わらず、「飽和脂肪酸悪玉説」という呪文が100年以上も唱えられたままです。
2005年には、これらの都合の悪い真実を打ち消す「チャイナ・スタディ(The China Study)」という「動物性食品悪玉説」を流布する劣悪な一般健康ポップカルチャー本が販促されました(過去記事参照)。
その設立当時から現代医学、現代栄養学は、サイエンスではなく、単なる権力者のプロパンガンダだったのです(^_−)−☆。