私たちの体にとって必須(欠乏すると障害が出る)で、体内では合成できないもの。
それが必須栄養素の定義でした。
そうすると、必須栄養素を摂取したら、大事に保管しておくにこしたことはありません。
今後は、いつその必須栄養素が摂取できるかどうか分からないのですから。
それではオメガ3のリノレイン酸(エゴマ、亜麻仁)やオメガ6のリノール酸(植物油脂)は、私たちの体内で大事に保管されているのでしょうか?
1900年代に、この問いに答えた重要な研究が複数報告されています。
食事中のリノレイン酸(オメガ3)、リノール酸(オメガ6)は、体内ですぐに燃焼(「ベータ酸化」といいます)されて消失します(The majority of dietary linoleate in growing rats is beta-oxidized or stored in visceral fat. J Nutr. 1997 Jan;127(1):146-52)。
エゴマに代表されるリノレン酸は、84.9%がすぐに燃やされて無くなるのです(リノール酸で75.5%)。
この状況は、リノレイン酸(オメガ3)、リノール酸(オメガ6)が欠乏している状態でも変わりありません(Polyunsaturated:Saturated Fatty Acid Ratio of Diet Fat Influences Energy Substrate Utilization in the Human. Metabolism. 1988 Feb;37(2):145-51)(Beta-oxidation of linoleate in obese men undergoing weight loss. Am J Clin Nutr. 2001 Apr;73(4):709-14)。
リノレイン酸(オメガ3)、リノール酸(オメガ6)が欠乏していても、リノレイン酸(オメガ3)、リノール酸(オメガ6)を摂取した後は、大半が燃やされてなくなるのです。
リノレイン酸やリノール酸といったプーファは、その構造中に二重結合(不飽和結合、酸化される場所)が複数あるために、バターなどの飽和脂肪酸よりも燃焼に手間暇がかかります(余分なエネルギーを必要とする)。
手間暇を考えれば、しかも必須脂肪酸でないとされている飽和脂肪酸を燃やした方が効率は良いはずです。
それにも関わらず、プーファは飽和脂肪酸よりも早く燃やしてなくしてしまうのです。
私たちは、飽和脂肪酸を体内で糖質から合成できるのですが、飽和脂肪酸の方をむしろキープしているのです。
プーファの中でもオメガ3のリノレイン酸やDHAの方が、オメガ6のリノール酸やアラキドン酸よりも、より燃やされます(Refeeding after fasting increases apparent oxidation of N-3 and N-6 fatty acids in pregnant rats. Metabolism. 1993 Sep;42(9):1206-11)。
特にオメガ3は、ファットフリー(ファスティング)の後に、食事を再開しても、他の脂肪酸よりも多く燃焼されます。
もし、エゴマに代表されるリノレン酸やDHAなどのオメガ3が必須栄養素であれば、大事に保管されているはずです。
それが欠乏状態であれば、なおさら後生大事に保管するでしょう。
しかし、エビデンスはその逆を示しています。
オメガ3欠乏の状態でも、オメガ3を摂取した後には、そのほとんどを燃やして無くしてしまうのです。
これは何を意味しているのでしょうか?
それはオメガ3を含めたプーファは私たちにとって毒性物質(生体毒)であるということです(^_−)−☆。