必須脂肪酸欠乏、つまりプーファフリーにすると逆に糖のエネルギー代謝が上がります。
これは、プーファを「必須脂肪酸」と誤認したジョージ・バーでさえラットの実験で認めていた事実です(The metabolic rate and respiratory quotients of rats on a fat-deficient diet. J. Biol. Chem 91: 525-539, 1931)。
さらに、バー自身も関わっているファットフリーの臨床実験の結果からも知ることができます(Effects of Prolonged Use of Extremely Low-Fat Diet on an Adult Human Subject. J. Nutr., 16, 511-524 (1938))。
この臨床実験は、健康人を対象に6ヶ月プーファも含めたファット・フリーの食事をしたものです。
その結果は、驚くべきものでした。
・体重減少
・血圧低下
・血液中のプーファの遊離脂肪酸減少(ラットの実験と同じ)
・仕事の後の疲労感消失
・何年もの間、発症を繰り返していた偏頭痛消失
そして何より、重要な所見は、糖のエネルギー代謝が高まったことです。
このバー自身も関わったこの臨床実験から、ヒトの場合は、プーファフリーでも悪影響は出ないという結語になっています(エビデンスは逆を示しているのに、なぜバーはラットの実験での必須脂肪酸に拘ったのでしょうか?)。
それでは、なぜファットフリーのラットの皮膚炎や成長障害がリノール酸やリノレイン酸投与で改善したのでしょうか?
一つは、当時のリノール酸やリノレイン酸の純度が低く、他のビタミンやミネラル分を含んでいたことが指摘されています。
そして重要なのが以下の理由です。
プーファフリーで糖のエネルギー代謝が高まるということは、それだけ糖以外にもエネルギー産生の元になる材料が必要になります。
それがタンパク質、ビタミンやミネラルなのです。
糖のエネルギー代謝を回す酵素は、タンパク質、ビタミンやミネラルを必要とするからです。
実際にプーファフリーで、これらのビタミンやミネラルが欠乏すると糖のエネルギー代謝回らなくなります。
つまり、バーの実験は、実際はプーファフリー(脂肪フリー)で糖のエネルギー代謝が高まりましたが、それに見合うビタミンやミネラルなどの栄養素の需要量が欠乏していたため、皮膚炎や成長障害が起こっているのです。
したがって、糖質、ビタミンやミネラルなどをプーファ・フリーのダイエットにしっかり含むと、これらの皮膚炎や成長障害は起こりません。
これが、リノール酸やリノレイン酸を投与しなくても、ビタミンB6などで、ファットフリーのラットの皮膚炎や成長障害が治癒した理由です(^_−)−☆。