アルコールを習慣的に摂取している人は認知症になりやすいということはポップカルチャーでも知られています。
これは、「アルコールが脳細胞を死滅させるから」とされていますが、どのようにしてアルコールが脳にダメージを与えるのでしょうか?
その詳しいメカニズムが最新の研究で明らかにされました(Alzheimers Dement. 2020 Aug 18. doi: 10.1002/alz.12146)。
アルコールは、赤血球や他の細胞から血液中に鉄を遊離させる作用があります。
この飲酒によって血液中に増加した鉄が、脳に入って脳神経細胞に沈着します。
このときに、現代人に蓄積しているプーファ(オメガ3&6)が、鉄と反応して、毒性の強い鉄化合物に変化します。
これを「リポファッシン(lipofuscin)」といいます。
いわゆる老人斑(シミ)の原因もこれです。
この毒性の強い鉄化合物(鉄+プーファ)が、脳神経細胞を死滅させるのです。
脳にできた”シミ”が脳神経細胞を死滅させるということです。
もちろん、脳神経細胞だけでなく、全身の臓器の細胞もダメージを受けていますが、最もエネルギー消費量の高い脳に最速で影響が出やすいのです(これを「ワーニッキー脳症(Wernicke-Korsakoff syndrome (WKS))」といいます)。
この論文では、鉄をキレートする物質やビタミンB1が認知症改善に有効であったことを報告しています。
ビタミンB1は、糖のエネルギー代謝を高める作用がありますが、それ以外にもフリーの鉄が脳に移行することをブロックする作用があります。
ポップカルチャーや現代医学の透析の世界では、いまだに糖のエネルギー代謝の低下による病態を「鉄欠乏による問題」と誤認して、せっせと危険な鉄製剤を投与しています(基礎医学『糖のエネルギー代謝と鉄』参照)。
鉄剤投与がアルコールおよびプーファ(現代食)と組み合わさると、認知症(バイデン大丈夫か?)へのアクセルを踏むことになることを今回の研究でも明示されました(^_−)−☆。