私は小さい時から、いわゆる方向オンチでした。
初めて行く場所ではよく迷子になりました・・・・・・
方向感覚(brain compass)というのは、「自分の体がこの3次元の空間のどこに位置しているか」という「空間認識」の能力に依存しています。
1回そこを通っただけで、方向や位置を把握できる人は、その空間認識能力が非常に高いと言えます。
「地図の読めない女」という本が流行りましたが、あれはフェイクです(^_−)−☆。
私のように男性でも方向音痴の人がたくさん存在し、一方女性でも方向・空間認識のずば抜けて優れている人が存在しているからです。
そして、男女ともに加齢とともに、方向感覚(空間認識能力)が低下していきます。
したがって、「地図の読めない女」というより、「地図の読めない加齢者」とう表現が正確でしょう(^_−)−☆。
さて、最新の研究で、その方向感覚(空間認識)は、外界や自分のスピード(velocity)の目測(測定)が不正確になることが大きな要因であることが明らかにされました(Nature Communications volume 11, Article number: 2626 (2020))。
対向車線を走っている車や自分の歩くスピードを計測するには、視覚だけでなく、聴覚、平衡感覚や振動感覚など多数のセンサーを導入して最終的に統合しています(Nat. Rev. Neurosci. 6, 966–976 (2005))(Exp. Brain Res. 210, 407–422 (2011))(Neurosci. 31, 125–150 (2008))。
このスピードを計測するセンサーの感度が低下することで、方向感覚や空間認識が低下するということです。
加齢でなぜ方向感覚や空間認識能力が低下するのかは、加齢に伴う糖のエネルギー代謝低下でこれらのセンサーの感度(糖のエネルギー代謝に依存)が低下するという理由に他なりません(アルツハイマー病などの脳の糖のエネルギー代謝低下のある人は迷子になりやすい)。
私がこれを実感したのは、女性でも非常に空間認識能力が高い人(運動能力も優れています)では、糖のエネルギー代謝が非常に高いという特徴があったからです。
私自身もプーファフリーで糖の摂取量を高めてからは、以前のようには迷子にならなくなりました。
自分の現在地を上空から眺めるという展開図を考えられるようになり、動態視力が若いときより、むしろ上がっていると感じがしています(バッティングセンターでそれを実証してみたいです(^_−)−☆)。
私は臨床において、脳卒中でこの「空間認識」が著しく低下した症例をたくさん経験しました。
これは、スピードを感知するのと同様に空間を認識するセンサーを統合する脳の部位(右の頭頂葉に多い)にダメージが及ぶからです。
今になって考えると、そのセンサーの統合部位である脳だけでなく、脳卒中が起こるケースでは糖のエネルギー代謝が低下しているので、これらのセンサーの感度も低下しているので、リハビリだけでは改善が難しいことが分かります。
脳卒中後に空間認識能力の低下がある場合は、車の運転は危険です。
運転免許教習で、よく教官が「高齢者教習は恐ろしい。いくら注意しても無理なので、高齢者マークをつけている車を見たら、近づかないことが一番」と言っていたことを思い出します。
現代のプーファ過剰の高齢者がよく車の事故を起こすのは、スピードの目測を誤るからです(もちろん判断力や忍耐力が低下していることも大きな要因)。
プロスポーツ選手が年をとっても、まだ体は動くのに引退せざるを得ないのは、この空間認識の力(動態視力)が低下するからです。
自分では「いける」と思って、体を始動してもかなり遅れてしまうという現象が起こります。
車や単車のレースなどでは、この空間認識力の低下は命とりになります。
現代人のように、小さい時からプーファ過剰で糖のエネルギー代謝が低下している状態では、若いときから方向オンチ(運動オンチ)になっているはずです。
この空間認識や動態視力と呼ばれるものは、本来は動物にとってサバイバルに直結する大切な能力です。
したがって、糖のエネルギー代謝をキープして、空間認識能力もいくつになっても磨いていおきましょう(^_−)−☆。