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『新型コロナウイルス感染症の予後を占うビタミンとは?』

今回も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)を題材としてリアルサイエンスを学んでいきましょう。

 

 

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、血栓ができやすいことが報告されるようになっています(J Thromb Haemost. 2020;18(4):844-847)(J Thromb Haemost. 2020 Apr 9)。


血栓が出来やすくなるのには、様々な要因があります。

その複数の要因に共通しているのが、「炎症」という病的現象です。

(拙著『新免疫革命』に詳述しましたが、炎症が傷の治癒過程に必要な現象であるという仮説はフェイクサイエンスです(^_−)−☆)

 

炎症が起こると血液が固まりやすくなります(Respiration. 2017;93(3):212-225)。

(本当は、血栓が出来やすい複数の他の詳しいメカニズムがありますが、いずれご紹介していきます。)

血栓を完成させるには、凝固因子というタンパク質が活躍するのですが、この凝固因子の一部はあるビタミンがないと機能しません。

そのビタミンとは、脂溶性のビタミンK。

従って、ビタミンKが不足すると、出血することになります。

炎症が持続すると、血液が固まる反応が続くため、ビタミンKが消耗されていきます。

従って、炎症が長期化すると、今度は血栓から一転して出血傾向になります。

この出血傾向を起こすのが、エボラ、ハンタ、マーバーグ出血熱です。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、その手前の病態と言えるでしょう。

実際に糖尿病、高血圧、心臓血管疾患を合併している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、ビタミンKの血液濃度が低下していることが報告されています(Lancet. 2020;395(10229):1054-1062)(Lancet. 2020;395(10223):497-506)(Nutrients. 2017;9(12). pii: E1334)。

ビタミンKは血液凝固でも重要な作用をするのですが、その前に強力な抗炎症作用や動脈硬化・組織線維化を止める働きがあります(Curr Nutr Rep. 2016 Jun; 5(2): 90–98)(Am J Epidemiol. 2008 Feb 1; 167(3): 313–320)(J Nutr. 2017 May;147(5):888-895)(Maturitas. 2014 Feb;77(2):137-41)。

これはビタミンKが、感染症などの慢性病の特徴である「還元ストレス(細胞内抗酸化状態、アルカリ性)」から細胞を守る重要な酸化物質(電子受容体)だからです。

感染症には、ビタミンDこちらの記事も)、ビタミンAばかりがクローズアップされますが、ビタミンKも脂溶性ビタミンでは重要なビタミンになります。

(新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症例で起っているプーファの脂質過酸化反応を止めるビタミンEも含めて、脂溶性ビタミンはセットで摂取しないと意味がありません。)

ビタミンKの濃度が低下することも、感染症を重症化させる指標となります。

ビタミンKは、リアルサイエンス『エネルギー代謝とビタミン』で詳述した様に、もちろん乳製品、卵などの動物性食品が摂取源としては理想的です(^_−)−☆。

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