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『高山病と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)』

今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症者に対する現代医学の標準治療として、前回ご説明した酸素投与呼吸器の使用があります。

特にショック肺(ARDS)と呼ばれる病態は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の死亡例に高率に合併しています(JAMA Intern Med 2020 Mar 13)。この様な症例に酸素投与と呼吸器が使用されているのです。

さて、このショック肺は、実は「高山病(HAPE :high altitude pulmonary edema)」でも引き起こされます。

急に標高の高い山に登ると、呼吸が苦しくなるのも、肺の血管から水分(血漿)がリークして、肺(肺胞)の中を水浸しにするからです。

胸部レントゲンやCT像も、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)重症例と高山病では全く同じです。

共通のメカニズムは、糖のエネルギー代謝低下による二酸化炭素産生減少による肺の血管のリークネス(血管から血漿成分が肺胞の中に漏れる)です。

私はこれを「リーキーベッセル」(血管漏出症候群)と呼んでいます。

高山病では、環境に十分順応する前に、酸素が薄くなる標高の高いところに登ってしまうことで起こります。高山病では、酸素が薄くなることで過呼吸になり、二酸化炭素が失われることで、全身(特に肺、脳)に炎症が引き起こされます。

ゆっくり酸素の薄いところに順応していけば、過呼吸になることはありません。

したがって、なんと新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の重症例(ARDS)に、高山病の治療薬が有効である研究論文が出ています(Cureus 12(3): e7343. March 20, 2020 doi:10.7759/cureus.7343)。

この高山病の治療薬は、体内の二酸化炭素濃度を高めるものです。

二酸化炭素濃度を高めると、赤血球が酸素を細胞に渡すことが可能になります。

これが本当の細胞の酸素化なのです(ボーア効果)。

酸素だけあっても、二酸化炭素がないと細胞には酸素が行き渡らないため、いくら純酸素を無理やり送り込んでも酸欠になるのです。

私は研修医時代に、富士山登山をする人に付き添う医療班として従事したことがあります。その時に、高山病の症状(頭痛、吐き気、呼吸苦など)が出た人には、この薬を飲んでもらいました。

拙著『ガンは安心させなさい』では、がんの特効薬としても、この二酸化炭素濃度を高める物質は有効であることをご紹介しました。

それは、昨日の記事でもお伝えした様に、二酸化炭素は糖のエネルギー代謝を高めるからです(実際はそれ以外にもたくさんの健康効果がある)。

二酸化炭素は癌だけでなく、今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)も含めあらゆる慢性病に有効なミラクルホルモンなのです(^_−)−☆。

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