野菜や果物(「クリマクテリック型果実(climacteric fruits)」)の完熟の際にエチレンガス(ripening gas)放出があることを以前お伝えしました。
このエチレンガスは、比較的人体には悪影響は少ないと言われてきました。
しかし、エチレンは体内で吸収されるとエチレンオキシド(Ethylene oxide)に変化します。
エチレンオキシドといえば、医療現場では医療器具の消毒(autoclave)に使用している長い歴史があります。
エチレンオキシドは動物実験やヒトの疫学的調査では、発ガン作用が明確に認められています(Am J Ind Med. 1984;6(2):103-15)(DNA Repair (Amst). 2005 Sep 28;4(10):1099-110)(Environ Mol Mutagen. 2019 Mar;60(2):100-121)。
エチレンオキシドがなぜガンを引き起こすのか?
一般的には、プーファの過酸化脂質であるアルデヒドと同じく遺伝子(DNA)に結合して突然変異を起こすことが原因とさています。
しかし、エチレンオキシド自体がエストロゲン作用を持つために、強い発ガン作用を発揮するのです(Crit Rev Toxicol. 1996 May;26(3):335-64)。
さて、植物および動物は外的ストレスが与えられると果物や野菜と同じくエチレンガスを放出します。
驚くことに、私たちヒトでも同じく、ストレスが加わると、このエチレンガスを細胞が放出するため、呼気で検出されるのです(Sci Rep. 2017 Jul 31;7(1):6889)。
その仕組みは、プーファにあります。
ストレスがかかると、プーファの過酸化脂質反応が開始されて、アルデヒドが形成されます(拙著『プーファフリーであなたは蘇る』『病はリポリシスから』)。
この時に同時にエチレンガスも発生するのです。
したがって呼気中のエチレンガスを調べれば、炎症の初期(およびプーファの脂質過酸化反応)の指標としても有用です(Sci Rep. 2017; 7: 688)。
野菜、果物もヒトもストレス反応で同じようにエチレンガスを放出するというのはとても興味深いですね(^_−)−☆。