皆さんは、スーパーで並んでいる“牛乳”が加工品であることをご存知でしょうか?
牛さんから搾乳したものを「生乳」といいます。
この生乳を加工したものが牛乳としてマーケットに出回っているのです。
さて、その加工品である牛乳の中でも、近年よく見かけるようになったものが「低脂肪牛乳(reduced fat milk)」。
私も当初は、脂肪を低減した牛乳の方が、脂肪がなくて良いのではないかと思っていました(^_−)−☆。
ところが・・・・・
最新の疫学研究では、低脂肪牛乳より全乳(普通の加工牛乳)の方が、より体重が増えない、つまりダイエット効果があることが報告されました(Am J Clin Nutr. 2019 Dec 18. pii: nqz276)。
この研究ではその理由は不明ということでしたが・・・・
元々の生乳では、ダイエット効果があることを「ミネラル総集編」でお伝えしてきました(TUEET基礎医学でも詳述しています)。
それではなぜ太る原因である“脂肪”を除去したミルク(低脂肪牛乳)の方が、逆に太るのでしょうか?
ここにはあるカラクリがあります。
牛乳は原材料が生乳 100%、無脂肪入固形物 8% 以上、乳脂肪分が 3% 以上のものと定義されています。
一方の低脂肪牛乳。
乳脂肪分は 0.5% 以上 1.5% 以下であると定められています(ちなみに、乳脂肪分が 0.5% 未満のものは無脂肪牛乳と分類される)。
低脂肪牛乳は、この乳脂肪を減らす過程で奪われた栄養素を補給するために「脱脂粉乳(だっしふんにゅう:powdered milk)」が添加されているのです。
日本は戦後の食糧難で、1949年から1964年にかけて、脱脂粉乳の食糧援助をユニセフ(UNISEF)受けました。これは米国で余った賞味期限切れのものでした(この事実を知っただけでも、国際機関というところがどのような場所なのかが分かりますね)。
拙著『プーファフリーであなたはよみがえる』にも書きましたが、この期限切れの脱脂粉乳は、当時の学童時には口に入れるのが大半な代物でした。
とにかく酸化して臭いのです。
ミルクにも少量はプーファが入っています。これがミルクを高温でパウダーにするときや倉庫に高い温度で置いていると、脂質過酸化反応が進んでアルデヒドが形成されるのです。
そしてミルクのタンパク質(アミノ酸)と反応して終末脂質過酸化物(ALEs)を脱脂粉乳内に形成します。
また、ミルクには乳糖(lactose)があるので、脱脂粉乳を作る過程で大量の終末糖化産物(AGEs)も形成されます(Crit Rev Food Sci Nutr. 2004;44(5):297-322)。
つまり、低脂肪牛乳には、アルデヒド、終末脂質過酸化物(ALEs)、終末糖化産物(AGEs)が含まれているのです。
これでは、低脂肪牛乳を摂取すると、炎症が引き起こされるために、牛乳のダイエット効果が相殺されてしまうのは無理ありません。
ちなみに、これは筋トレ界のプロテインパウダー(whey powder)も同じ問題を抱えています。
やはり、野菜以外はより加工度の少ないものを食べるのが基本ですね(^_−)−☆。
今年も一年皆さまに大変お世話になりました。
来年もみなさまの心身の健康と日本と日本人の復興を祈念しております。
良いお年をお迎えください。