ジムに行くと、お腹が6つにも8つにも割れていて、しかも筋肉隆々な体をした人をたくさん見かけます。
女性でも最近は、男性顔負けの人もいます。
モデルのようにスリムな人もいます。
しかし、よくよく観察すると、このような体をした人は20~30代の若者です。
40歳後半以降になると、トレーニングを継続している人でも少しお腹が出ていてふっくらした印象を受けます。
さて、以前から「肥満パラドックス(obesity Paradox)」という現象があることをお伝えしてきました。
これは、ちょい太り(過体重、肥満ではない)の方がスリムな人よりも健康的かつ長生きするという現実を指しています(Obesity (Silver Spring). 2010 Jan;18(1):214-8)。
興味深いことに、カロリー制限をした場合でも、体重減少が少ない方が長生きします(Aging Cell. 2011 Aug;10(4):629-39)。
最新の研究でも、あらゆる原因による死亡率は、スリムな人の方が高いこと、そして、過体重(肥満ではない)の人は心臓血管疾患のリスクが低いことが報告されています(Heart. 2019 Sep 17. pii: heartjnl-2019-314770)。
年齢を重ねるごとに、スリムになる方が早く死亡します。
これは急激なダイエットをおこなってスリムになった場合も同じです。
なぜ、年齢を重ねると、スリムになる方が危険なのでしょうか?
それは、無理なカロリー制限、糖質制限や運動などは、脂肪だけでなく、筋肉や骨まで溶かしてしまうからです(JAMA Netw Open. 2019 Oct; 2(10): e1913733)。
つまり、脂肪だけが取れれば理想的なのですが、急激なダイエットでは、脂肪と同時に筋肉・骨も砕くことになるのです。
そして、現代人の問題としては、脂肪が急激に分解されることそれ自体でさえも、プーファの急激な流出を招くため、ガンを含めたあらゆる慢性病を引き起こします。
40歳後半を過ぎていて、20歳代の若者のようにスリムであることは、まさしくがんの悪液質状態ということです。
最も、若い世代での肥満は老年期より、がんのリスクを高めることは言うまでもありません。
私の年齢で、若者のような体を望むのは、むしろ危険だと言うことで、自分の下腹を見ながら少し安心しました(^_−)−☆。