みなさんは、風邪を引いたら、病院に行って何を処方してもらうでしょうか?
やはり抗生物質を処方してもらうことが多いかも知れません。
しかし、最近は耐性菌を作ったり、強い副作用が出たりして、抗生物質という薬の有効性が疑問視されるようになりました。
そこで・・・・・
遺伝子編集(GE)の登場です(^^♪。
遺伝子編集技術(クリスパーキャスナイン、CRISPR-Cas9)によって、病原菌の遺伝子をカット&ペーストすることで、死滅させようという試みが報告されました(Nature Communications, 2019; 10 (1) )。
この遺伝子をカットする酵素をある運搬体(プラスミッド)に組み込んで、病原菌の遺伝子に組み込ませるという手法。
これによって、病原菌は自らの遺伝子をカットして、死滅してしまうという仕組みです。
今回の黄色ブドウ球菌と大腸菌を混合培養した細胞実験では、この手法が上手くいったようです。
おいおい・・・・
遺伝子をカットしてバクテリアが死滅するなら、植物・動物やヒトに応用したらどうなるの?・・・・・(長期的に恐ろしい副作用が待ち構えている)
それはさておき・・・・・・・・・・・
このような遺伝子をいじる方法は、すぐに耐性ができます。
ちなみに、バクテリアに遺伝子編集ウイルス(bacteriophage)を感染させて、バクテリアを破壊する臨床試験も開始されています。
バクテリアには、耐性ができて生き残った遺伝子をすぐに全体(他のバクテリア)に伝えられる能力があるため、遺伝子編集(GE)という武器もすぐに無力化されていきます。
つまり、抗生物質と同じく、耐性菌との追いかけっこになり、根本治療にはなり得ないのです。
さらに遺伝子編集は、抗生物質よりも強力な耐性菌を作ってしまう可能性も秘めています。
これは基礎的なサイエンスを学んでいないために、頻繁に起こる実験デザインそのものの間違いです。
「病原菌を叩く」という二元論そのものが、単なる思想であり、サイエンスではないのです(^^♪。