みなさんは、「ホルモン療法」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?
「ホルモン療法」には大きく分けて2つあります。
一つは、ホルモンが足りないという認識(誤解)に基づいてホルモンを投与するもの。
更年期障害に対してエストロゲン製剤を投与する「ホルモン療法」がその典型例ですが、「ホルモン補充療法」とも呼ばれます。
もう一つは、あるホルモンが過剰になるために、引き起こされる病態に対して、そのホルモンをブロックするようなホルモンを投与するもの。
これは、乳がんに対してエストロゲンという発がんを促すホルモンの産生をブロックする物質を投与するものです。
さて、今回は前者、つまりエストロゲン補充療法と認知症の関係について調べた疫学的調査が報告されています(BMJ. 2019;364:l665)。
フィンランドの約17万人の閉経後女性の症例対照研究(case-control study)です。
閉経後女性への全身ホルモン補充療法では・・・・・
エストロゲンと併用する黄体ホルモン製剤の種類や開始年齢にかかわらず、長期の投与によりアルツハイマー病のリスクが9~17%増大するという結果が出たようです。
膣へのエストロゲン補充療法では認知症との関連は認められなかったということでした。
膣に局所投与しても、全身の血液にエストロゲンが入って循環するので、この差が何の原因で起こっているのか不明です。
そもそもなぜ、エストロゲン製剤と認知症の関係を調べたのでしょうか?
今までの疫学的調査(エビデンスレベルは低い)では、エストロゲン製剤が認知症を防ぐという結果もありましたが、より大規模の疫学的調査では、これは否定されていました。
実は、エストロゲン補充療法では、心臓血管疾患、脳卒中などのリスクが増加することが報告されています(メディカルパレオシリーズ「ホルモンの真実」編)。
今回の報告は、それを間接的に支持する結果となったということですね(アルツハイマーも心臓・脳血管障害も同じ原因(^_-)-☆)。
エストロゲンは、脳細胞を興奮させる大きな要因です。
発酵していない大豆を与えた過去の動物実験がそれを明らかにしています。
脳細胞が過剰に興奮してリラックスできないと、多大なエネルギーが消耗されます。
やがて脳細胞の生命維持するエネルギーが枯渇していきます。
そうすると脳細胞が徐々に死滅していきます。
これがアルツハイマーとなって現れるのです。
もちろん、医薬品の添加物もエストロゲンの効果を増長しますので、「ホルモン療法」にはくれぐれもご注意下さい(^^♪。