同じ年とは思えないほど、若くて元気な人もいれば、自分の親世代と見間違うほど老化の進行している人もいますよね。
暦上の年齢と生理的年齢(心身の状態)のバラつきが出てきます。
このような現象がなぜ起こるのでしょうか?
今までのサイエンスは遺伝子決定論、つまり「生まれつき決まっている」という仮説が主流でした。
しかし、基礎医学シリーズの遺伝子総集編で詳述したように、それは根本的な間違いです(『基礎医学シリーズ:遺伝子総集編』DVD参)。
生理学的年齢(現在の心身の状態、若さ)は、遺伝子によって決まっているのではありません。
それは食事を含めた生活習慣や自分の身を置く環境によって決まるのです(^^♪。
そして生理学的年齢が暦年齢より高いほど(実際の歳より老けているということ)、寿命が短いことを基礎医学でもお伝えしたしました。
時計の針はみんな同じようには進まないということですね(^^♪。
このような環境によって影響を受ける「生理学的年齢」は、遺伝子の修飾(変異ではない、エピジェネティック)状況をマーカーとして測ることが可能といわれています。
さて、今回その生理学的年齢(遺伝子の修飾)と乳がんの関係を調べた研究が報告されました( J Natl Cancer Inst, Published: 22 February 2019)。
その結果は、やはり生理学的年齢(心身の実際の加齢度)が高くなるほど、乳がんの発症リスクが高くなっていました。
つまり、歳が若くても、体内の老化が激しければ、乳がんになる確率は高くなるということです(今のミレニアル世代がその代表)。
それでは、この生理学的年齢の指標となる遺伝子の修飾(エピジェネティック)は、何によって変化するのでしょうか?
これもずばりその人のライフスタイル(生活習慣)で変化するのです。食習慣、運動、行動、思考パターン、居住環境などの多くの因子がありますが、すべて「生まれつき」決まっているものではありません。
ということは、生理学的年齢は自分の意思によって変化させることが可能ということです。
「生まれつき」というのは、実は母胎で環境によって変化・決定したことが大半を占めています。
これも遺伝子そのものではなく、環境による変化です(しかし、それが分からなかったから、見かけ上は”生まれつき”と勘違いしている)。
そして、いくつになっても遺伝子の働きは環境によってダイナミックに変化する。
このことは、私たち生命体は環境さえ整えれば無限の可能性を持つことを明確に示すと同時に、「生まれつき」と開き直るのは、単なる”言い逃れ”にしか過ぎないことにもなります(^^♪。
これが生命体の醍醐味の本質だと思います(^_-)-☆。