糖質制限、ケトン食やファスティングでは、血糖値を下げると勘違いしている人が後を絶ちません。。。。。(その逆であることを拙著『慢性病は現代食から』(続・新免疫革命)で詳述)
しかし、そもそも”血糖値を下げる”ということ自体が良いことなのでしょうか?
貝類の海カタツムリは、魚などをまるごと食べてしまう肉食動物です。
その捕食方法は・・・・・
魚が通り過ぎると毒を水中にばらまきます。
この毒で意識を失って動けなくなった魚は海カタツムリが飲み込みます。
さて、最新の研究で、海カタツムリの毒にインシュリンが含まれていることが分かりました( eLife, 2019; 8 )。
インシュリンは血液中の糖を細胞内に運ぶ作用を持っています。
一般に言われる血糖値を下げる効果ですね(^^♪。
このインシュリンはヒトのインシュリンよりも即効性があることが今回の研究で分かりました。
魚がこの海カタツムリのインシュリンに暴露すると・・・・
そうです。
生命体最大の危機である「低血糖」になって失神するのです。
臨床現場でも意識消失で救急車で運ばれてきた人で、原因が「低血糖発作」であることがよくありました。
たいていは、糖尿病でインシュリンの過量投与やアルコール中毒による糖摂取不足によるものでした。
「低血糖」は、高血糖よりも怖いのです。
これは救急を経験している医師なら誰でも知っているでしょう。
高血糖では、脱水などが重なって400~500mg/dl 以上にならないと、意識障害が出ませんが、低血糖(50mg/dl以下)では即座に意識障害になります。
これは脳が大量の糖を必要とするからですね(^^♪。
高血糖でさえなぜ意識障害が出るかというと、メカニズムは低血糖と同じです。糖がたくさん血液中にあっても利用できないので、脳は低血糖発作を起こしているのです。
私たちの細胞にとっては、低血糖も高血糖もいずれも細胞内低血糖という意味では同じなのです(^^♪。
この研究では、この海カタツムリの毒からインシュリンを分離してヒトに応用できるのではないかとしています。
ただ、海カタツムリのインシュリンは、即効性があるのですが、ヒトのインシュリンよりも作用が10~20倍弱いことが難点のようです。
最近は化粧品にもハチ毒が使われています。
これらの毒は、総じて生命体にとって強いストレスを与えますから、安易な使用(ホルミシス効果という幻想(^_-)-☆)にはご留意してください(^^♪。