インフルエンザウイルスや風邪の原因といわれるウイルス感染で関節が痛くなる理由をお伝えしてきました。
その原因の一つがエンドトキシン(内毒素)とよばれる腸内細菌の構成成分です。
このエンドトキシンの量によって、病態が分かれるという興味深い研究内容が報告されています(Sci Rep. 2017 Jan 5;7:40149)。
エンドトキシンを持続血管内注射した人体実験です。
エンドトキシンを持続点滴するとインフルエンザウイルス感染様の症状を呈したという内容でした。
興味深い点は、
・エンドトキシン低濃度では、
慢性炎症が起こり、動脈硬化、糖尿病などのメタボリックシンドロームを呈する
・エンドトキシン中程度濃度では、
インフルエンザウイルス感染様症状を呈する
・エンドトキシン高濃度では、
敗血症(菌血症)という死に至る感染症を呈する
というようにエンドトキシンの血液濃度によって病態が分かれるという内容です。
つまり、エンドトキシンの血液濃度によって急性の感冒症状から慢性病の症状まで起こり得るということです。
腸の状態が悪いと、エンドトキシン(内毒素)が腸から血液内に流入します。
風邪のような急性炎症は、エンドトキシンが大量に血液内に流入することで起こります。
一方の糖尿病などの慢性疾患は、慢性的に腸の状態が悪いことによってエンドトキシンが低濃度持続して血液内に流入することで起こる慢性炎症ということです。
中世までは伝統的にあらゆる病気に対して下剤が用いられました。
その理由は、便秘によって腸内細菌が増殖しないように、つまり下剤によって腸内細菌の増殖を抑え、エンドトキシンの量を低下させることで炎症を軽減するからなのです。