前回の続きです。
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ダメージを与えられた血管は動脈硬化を起こしています。
この動脈硬化を起こした血管をつぶさに観察すると、プーファ(アルデヒド)で変性したコレステロールやそれを貪食した白血球(マクロファージ)の死骸で埋め尽くされています。
プーファが自動酸化するとアルデヒドという毒性物質ができます。
プーファ(多価不飽和脂肪酸)やそれが自動酸化して形成されるアルデヒド(過酸化脂質)は、タンパク質・遺伝子(DNAなど)・脂質(コレステロール、リン脂質)などを変性させます。
この変性した自分の組織は、処理すべきゴミとして認識されます。
しかし、このプーファが組み込まれた組織やアルデヒドで変性した組織はそれ自体が食細胞のゴミ処理をブロックします。
そうすると、ゴミが抱え込んだ食細胞が死滅します。
その死滅した食細胞そのものもゴミとなりますが、これも新しい食細胞でも処理できません。そして新しい食細胞も死滅してゴミになるっていくという悪循環に陥ります。
さらに、アルデヒドで変性した組織(終末脂質過酸化産物:ALEs)そのものが食細胞などを過剰に活性化してリンパ球を巻き込んで炎症を加速させます。
このようにゴミそのものが炎症を引き起こす場合を特に「炎症ゴミ(ダンプス、DAMPs)」と名付けています(『新・免疫革命』)。
この炎症ゴミが血管の壁に蓄積した状態が動脈硬化(血管のダメージ)とよばれるものです。
動脈硬化での炎症ゴミとは、プーファ(アルデヒド)で変性したコレステロールおよびそれを処理するのに失敗した白血球(マクロファージ)の死骸なのです。
炎症ゴミによって炎症が慢性化すると、やがて線維化が起こり血管が硬くなります。
傷は、糖のエネルギー代謝が回っているときれいに元に戻りますが、糖のエネルギー代謝が回っていないとケロイド(線維化)になって硬くなるのです。
このように動脈硬化巣には、プーファ(アルデヒド)で変性したコレステロールとそれを貪食した白血球(マクロファージ)の死骸で埋め尽くされています。
この変性コレステロールは、魚油(EPA)、DHA、アラキドン酸、オレイン酸(オレイン酸はプーファではありませんが、酸化します)と結合したコレステロールです。
血管にダメージを与えるのは、このようなプーファによる炎症ゴミです。
高血糖(AGEs)ではありません。まず、ここをしっかりと押さえておきましょう。