みなさんは第二次世界大戦中のオランダの飢餓事件や毛沢東の大躍進という言葉をご存知でしょうか?
オランダの飢餓事件では、当時のナチスがオランダを兵糧攻めしたことで1日摂取カロリーが半分に落ちた期間が続いたという事件です。
これによって、当時の妊婦さんから生まれた子供、孫の代まで肥満・糖尿病・心臓血管疾患などのメタボリックシンドロームにかかるリスクが高まったのです。
中国の大躍進でも同じこと子供や孫の代に起こったことが、調査によって明らかにされました。
さて、今回は飢餓の逆といっても真逆ではありませんが、高脂肪食(プーファ)を妊婦にあたえたマウスの実験です(Translational Psychiatry, 2018; 8 (1))。
その後に子供と孫を詳細に調べました。子供と孫は高脂肪食ではなく一般の餌を与えて育っています。
その結果は・・・・
子供、孫に肥満・インシュリン抵抗性・脂肪蓄積といった特徴(メタ炎症の特徴)が明らかになりました。
つまり、子供から見ると母親が、孫から見ると祖母が高脂肪食を妊娠中と周産期に摂取していたことが肥満の原因となっているのです!
子供と孫は高脂肪食を食べていていないのにも関わらず。。。
自分の責任ではない・・・ということですね(^○^)。
これが基礎医学の遺伝子総集編2で詳述した、環境(この場合は高脂肪食)によって遺伝子のスイッチのオン/オフが変わるという現象です。
妊娠中の女性が飢餓状態でも高脂肪食(高プーファ食)でも子供と孫までに悪影響を及ぼすということが今回も確認されました。
実は、当時朝鮮に出兵していた私の祖母もちょうど終戦のときに私の母を出産し、命からがら日本に帰ってきました。朝鮮半島から日本までの船では、母乳が出ないために海水を赤ちゃん(私の母です)に与えたと聞きました。
当然、赤ちゃんは激しく泣きますよね・・・・・涙
このエピソードがあったので、飢餓状態で妊娠していた祖母の孫にあたる私はやはり肥満体質がベースにあるのかも知れません。
この年になって下腹がなかなか引っ込まないのもそのせいかも・・・・
しかし、先祖のせいばかりにしてはいられません。
肥満傾向があるとしても、それを自分の世代でライフスタイルを変えることでまた遺伝子のスイッチを変えることもできますのでご安心を!(^^)!。